研究課題/領域番号 |
18K14829
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 藤田医科大学 (2022) 国立研究開発法人理化学研究所 (2018-2019) |
研究代表者 |
檀上 輝子 藤田医科大学, 医学部, 助教 (60613247)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2018年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 他者認知 / 海馬 / 他者観察行動 |
研究開始時の研究の概要 |
私たちが生活する中で、記憶は欠かせないものである。生活の中でのいろいろな出来事を記憶したり、自分が存在する周囲の場所や物の記憶には主に海馬という脳部位が重要な役割を果たしている。記憶はエピソード、場所、ものに限らず、自分の周囲の人に関する記憶も私たちの生活にはきわめて重要だが、他者に関する情報も場所やものと同じように海馬で記憶されているのかはこれまで不明であった。申請者はこれまでの研究で、ラットが他者ラットの場所を海馬の場所細胞で表象していることを海馬の神経細胞の活動記録により明らかにした。本研究ではその成果を踏まえ、他者の情報がどのように海馬に伝達されるのかを解析する。
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研究実績の概要 |
見知らぬマウス同士が初めて出会うと互いに洞毛(ヒゲ)を細かく動かして相手の洞毛と接触させる(ソーシャルタッチ)。その際、高周波による発声(USVs: ultrasonic vocalizations)を相互に用いてコミュニケーションする。洞毛由来の感覚情報は体性感覚野(S1)を通して、高周波の発声は聴覚野(A1)を通して情報処理されるが、この2種類の感覚情報はどのように統合されるのだろうか?マウスでは聴覚野から直接の神経投射を受ける側頭連合皮質(TeA)が体性感覚野から も入力を受けている。本提案では、S1DZ‐TeAを感覚情報を統合する回路の候補として、社会行動中のマウスからシリコンプローブを用いた神経活動記録を行い、マウスが他個体に接触し社会嗜好性を示すメカニズムを明らかにする。 本年度の実験では、ソーシャルタッチとUSVsの情報統合が他者認知に関わるのか、S1DZがソーシャルタッチの感覚情報をコードしているのかを明らかにするため、ソーシャルタッチ時の神経活動記録をおこなった。その結果、相手マウスがソーシャルゾーンに進入した直後に発火活動が上昇するニューロンを確認した。この変化が単に物体との接触によって生じたものか、あるいは接触を予知した神経活動である可能性を除外する必要がある。これらの可能性が除外された場合、ソーシャルタッチに関連した神経活動であると考えられる。CTBを用いた逆行性神経回路の解析ではS1DZが前頭前野やTeAなどの連合野から入力を受けることが明らかになっており、これらの脳領域間での相互連絡が他者認知を促進している可能性がある。
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