研究課題
若手研究
本研究では、ドーパによる降圧・徐脈反応が、ラットの大動脈神経(ADN)を光遺伝学的に刺激することによって模倣されるか否かを検討した。 チャネルロドプシン2(ChR2)をアデノ随伴ウイルスを用いて ADN に感染させたところ、NTS において ChR2 の一部はチロシン水酸化酵素と共局在した。この条件下において、NTS を光刺激(473 nm、40 mW、20 Hz、20秒)すると、降圧・徐脈反応が惹起され、この応答はドーパ拮抗薬であるドーパシクロヘキシルエステルの前処置により減弱した。これらのことは、ドーパが ADN から NTS に終末する神経における神経伝達物質であることを示唆する。
本研究の成果より、ドーパが大動脈神経から NTS に終末する神経において、生理的に血圧を調節する可能性が示唆された。この結果はドーパが NTS における神経伝達物質であることを示唆する。従来、ドーパミンの前駆体に過ぎず、それ自体に活性がないと考えられてきたドーパが神経伝達物質として機能することを証明することは、薬理学の教科書を塗り替える可能性を秘めている。この点が本成果の学術的意義である。
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J Pharmacol Sci
巻: -
巻: 141 ページ: 41-48
Front Pharmacol