配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
本研究は,近年申請者が見出した“体温付近では薬物放出を殆ど認めず,低温条件において24時間で40%程度の緩徐な薬物放出を示す”というユニークな放出特性を示す低融点マイクロクリスタリンワックスマトリックス粒子を,温度感受性製剤へ応用すべく企図された.本研究では,本粒子の特徴的な溶出機構の解明および,一時的な冷却を繰り返し行う条件においてin vitro/in vivoでの薬物放出挙動を評価した.溶出機構の解明においては,25°C,37°Cで溶出試験を行い,試験中に経時的に粒子をサンプリングし,粒子内部の様子を,X線CTを用いて評価した.25°C試験中に回収した粒子では, 時間の経過に伴い薬物放出に起因する空隙が増加したが, 粒子形状の変化は確認されなかった. 一方, 37°C試験中に回収した粒子では, 試験初期 (30分点) においては空隙が確認されたもが,その後の時間点では空隙は消失し,粒子表面には凹凸が確認された.この結果より37°Cでは,融解したワックスが導水経路となるはずの試験初期に形成された空隙へ移行し, 空隙が消失することで, 粒子内部からの薬物放出が抑制され,初期以降ほとんど薬物を放出しないというユニークな薬物放出挙動を示したと推察した. 37°Cから25°Cへの試験液の冷却を120分毎に繰り返し行ったin vitro薬物放出試験において,本粒子の薬物放出は,温度が低下することで促進され,上昇することで抑制された.さらに,in vivo試験において,本粒子を皮下投与したラットに対して,投与部位を氷で15分間,30分ごとに繰り返し冷却を行った結果,冷却を行わなかったラットと比較して,各時間点における血中薬物濃度は有意に高値を示した.このことから,in vitro/in vivoにおいて,一時的な冷却により本粒子からの薬物放出を促進させることが可能であると考えられた.
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