研究課題
若手研究
大脳皮質の形成過程では、胎生期に存在する放射状グリア(radial glia; RG)細胞と呼ばれる丈の長い神経幹細胞が、予め決められたタイミングで増殖・分化し、多様な神経細胞が産生される。この過程はRG細胞内の複雑な分子機構によって制御されている。本研究では、細胞周期因子Cyclin D2に着目し、大脳皮質のRG細胞における基底膜突起先端部へのCyclin D2 のmRNA輸送を阻害すると、大脳皮質の構築が異常になることを明らかにした。この結果から特異的なmRNA輸送が、胎生期における大脳皮質形成に重要である可能性が示唆された。
発生や細胞分化の過程では、細胞内において様々なタンパク質が時空間的に不均等に局在することにより、細胞の運命決定や特異的な機能発現に重要な役割を果たしている。神経系でこれまでに注目されていたのは、主に分化した神経細胞内のmRNA輸送・局在制御機構であった。このような研究動向の中で、本研究では、独自に見出したCyclinD2 mRNA輸送機構を起点として、これまでに考慮されてこなかった神経幹細胞内のmRNA細胞内局在制御による機能発現についてアプローチできた点で大きな意義がある。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件)
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