研究課題
若手研究
胎生期大脳においてミクログリアは胎齢の進行に伴い分布を変化させる。すなわち、胎生早期や後期では大脳実質全体にほぼ均一に存在しているが、胎生中期の胎生15~16日目において皮質板から不在となる。本課題では、このようなミクログリアの分布変化の分子機構と、皮質板から一過性に不在となる意義について明らかにすべく研究を推進した。ミクログリアはCXCL12/CXCR4の相互作用を利用して胎生中期の皮質板から不在となり、ニューロンの適切な成熟進行を妨げないように自身の居場所を調節していることを明らかにした。
本研究により、正常脳におけるミクログリアの動態や神経系細胞との関わり合いについて理解が深まった。胎生期のみならず生後にわたる脳形成・成熟メカニズムの包括的な理解に貢献すると考えられる。一方で、母体の過剰な免疫活性化(感染症、肥満・低栄養状態)が、胎児の統合失調症、自閉症、ADHD等の発症リスクを高めることが報告されており、近年社会的にも母体炎症による胎児脳発生への影響について関心が高まっている。そこで発展的展望として、母体炎症に起因する脳発生の異常を未然に防ぐための予防法や治療法の画策など社会的ニーズに応じた研究展開も考えていきたい。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (5件)
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