研究課題
若手研究
本研究では、まずマウス脳梗塞モデルを用い梗塞領域において胆汁酸存在量が上昇することを見出した。これを「脳由来胆汁酸」と捉え、脳梗塞領域における合成メカニズムと生理機能を明らかにした。その結果、胆汁酸合成律速酵素であるCYP7A1が神経細胞に発現し脳梗塞時に発現上昇する事を明らかにした。また、胆汁酸合成関連酵素であるHSD3B7の発現も上昇する事、RNA結合タンパク質であるAUF1がCYP7A1 mRNA安定性に関わる事等を明らかにした。さらに胆汁酸合成不全マウスとしてCyp7a1ノックアウトマウスを作製しin vivo解析をおこなった。
脳梗塞は脳血管機能の破綻に起因する代表的な疾患であり、血栓溶解療法や脳保護療法が用いられているがより積極的に脳梗塞病態を改善する方法が求められる。報告者らは脳梗塞モデルマウスにおいて脳梗塞領域のニューロンで「胆汁酸」合成が上昇するという新事実を見出し、新規脳梗塞治療法確立を目指した研究をおこなった。本研究により、神経細胞においてCYP7A1が発現する事、脳梗塞環境下でCYP7A1の発現が上昇する事、RNA結合タンパク質であるAUF1がその発現変化に関わる事等が明らかとなった。これまで着目されていなかった脳での胆汁酸機能の一端を解明した研究結果であり脳梗塞研究のさらなる発展に貢献できると考える。
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