研究課題
若手研究
本課題においては、「がん幹細胞性を司る翻訳様式」の要諦として、tRNA修飾の機能に着目し、複数の異なる様式の核酸修飾およびそれを担うtRNA修飾酵素について同定した。特に、tRNA修飾酵素Xについては、悪性脳腫瘍におけるがん幹細胞性の維持に必要不可欠な修飾核酸であることを見出し、論文として報告できた。さらにtRNA修飾酵素Yについても、酵素Xと同様の修飾様式を呈すること、および酵素Xと同様に種々のがん種の幹細胞性の維持に必要不可欠であることを見出した。また、tRNA修飾酵素Zについては、上皮系がんの幹細胞性を司ることを見出した。
本研究で取り組んだ「tRNA修飾酵素群によるがんの翻訳制御機構」は、がん治療の妨げの元凶のひとつとされている「がん組織内の不均一性」を説明するための新しい試みである。今回明らかになったように、特定のtRNAにおける修飾核酸には、がんの進展を促進させたり、阻害させたりする機能があることが判明した。今回私が同定したtRNA修飾酵素群に対する阻害剤が開発できれば、これまで治療を困難にしてきたがん幹細胞を標的化することが可能な抗がん剤が開発される可能性があるという点で、重要な研究であると考える。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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