研究課題
若手研究
免疫記憶を担うメモリーT細胞の中で、最も未分化な細胞集団としてステムセルメモリーT(TSCM)細胞が知られている。我々は以前試験管内でTSCM様細胞を誘導する方法を確立した。本研究費助成事業で我々はがん治療法のであるキメラ型抗原受容体発現T (CAR-T) 細胞療法の技術を用いて、従来治療で使用されるCAR-T細胞をTSCM様の細胞へ変化させることに成功した。このTSCM様のCAR-T細胞は白血病モデルにおいて強い抗腫瘍効果を示した。この強い抗腫瘍効果はミトコンドリア機能の亢進に依ることも明らかになった。これらの研究結果は2020年に米国癌学会誌Cancer Researchに発表された。
キメラ型抗原受容体発現T(CAR-T)細胞移入療法はチェックポイント阻害剤と並ぶ、新たながん免疫療法である。米国ではすでに製剤として認可されており、小児および若年白血病患者に対して、高い治療成績を示している。しかしながら、長期間の寛解維持が困難であり、その原因の一つとして移入する細胞の品質が問題となっていた。本研究は従来のCAR-T細胞をより長期間体内で維持される様に改善する方法であり、新しいがん治療法として期待される。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)
Cancer Res
巻: 80 号: 3 ページ: 471-483
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