研究課題
若手研究
結節性硬化症(tuberous sclerosis complex, TSC)は、皮膚/神経系/腎/肺/骨など全身症状を伴う常染色体優性遺伝性疾患でTSC1遺伝子とTSC2遺伝子が同定されている。臨床診断が比較的容易な疾患であるので、診療ガイドラインにおいて遺伝学的検査の推奨度は高くないが、多彩な臨床症状を呈し発症年齢が多様なことから、若年者や診断基準を満たさない不全型の場合には遺伝学的検査が確定診断に最短となると考えられる。TSC1/2は、エクソン数が多いため従来法では遺伝学的検査に多大な時間と労力を要していたが、次世代シーケンス解析(NGS)によるエクソーム解析の登場により、一度に当該遺伝子を検査することが可能になったものの国内外のコホート研究から変異検出率(16%~85%)の低さやコストが問題となっていた。これらの問題を解決するために、本研究では、NGSを用いた高感度で迅速・安価なTSC特異的遺伝子変異解析法を確立をすることを目的とし、遺伝学的検査こそが早期介入への近道とされる不全型患者の拾い上げを目指した。2015年から2019年10月までに解析を行ったTSC50症例において、安価かつTSC1/2遺伝子のみを網羅的に解析可能なLongPCR法と、TSC以外も解析対象となり時間・コスト面に課題のあるターゲットエクソーム法との比較検討を行った。LongPCR法はエクソーム解析では捉えることが難しいイントロンにあるバリアントやモザイクも検出可能となる。ターゲットエクソーム法により既同定のバリアントはLongPCR法においても再現良く同定に至ったことから、ターゲットエクソーム法の代替法となり得ることがわかった。遺伝子解析を行う過程で、TSC2遺伝子に同定されたバリアントにInDelが多いという特徴的な結果が得られたもののTSC2特異的な結果の原因究明は途中となっている。
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