研究課題
若手研究
免疫原性の高いマイクロサテライト不安定性(MSI-H)大腸がんを用いてPDXモデルを作製し、がん組織を採取した同一患者からの末梢血単核球(PBMC)をこのモデルに輸注することで、がん免疫研究に適した免疫ヒト化PDXモデルの作製を試みた。3モデルのMSI-H大腸癌PDXモデル(PDX1-3)を作成し、組織学的解析、遺伝学的解析を行った。PDX腫瘍においてもMSI-Hが維持されていたPDX1にPBMCを尾静脈より輸注し、PDX腫瘍を解析したところ、ヒトCD45陽性細胞とCD3陽性細胞が確認された。このモデルに免疫チェックポイント阻害薬を投与したところ浸潤リンパ球の増加傾向を認めた。
免疫チェックポイント阻害薬は、がん患者の生存期間の延長に寄与している。しかしながら、免疫チェックポイント阻害薬単剤の奏効割合は各がん種で概ね20%とその効果は限定的である。従って、更なるがん免疫および免疫療法の研究開発が必要であるが、現在の動物実験モデルではヒトがん免疫の再現が十分でないため、前臨床試験モデルを用いた免疫療法の薬効評価やバイオマーカーの探索を行うことが難しい。今回の研究は、ヒトのがん免疫をマウス内に再現することを目指したものである。これによりがん免疫療法の薬効評価が進めば、がん免疫療法の奏効率の上昇に寄与する研究が加速するものと考える。
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journal of cancer research and therapeutics
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