研究課題
若手研究
本研究は、これまでに前頭眼窩野の関与が示唆されている柔軟な行動選択において、異なる皮質下領域との相互作用に基づいて実現されているという作業仮説を立て、それぞれ検証することを目的として実験を行った。その結果、前頭眼窩野から線条体へと至る経路の抑制を行った際には、報酬の価値を逐次(モデルフリーに)アップデートする機能に障害が生じた。また、前頭眼窩野から視床MD核へと至る経路の抑制を行った際には、価値をルールに基づいて(モデルベースに)切り替える機能に障害が生じた。これらの結果は、前頭眼窩野からそれぞれの領域へと至る経路が、柔軟な行動選択をするうえでそれぞれ異なる役割を果たしていることを示唆する。
本研究成果は霊長類前頭前野を中心とした神経経路の機能的役割を明らかにした基礎脳科学的成果に加え、霊長類脳機能を探索する上での新奇な方法論の確立、および当該神経経路の破綻が原因と目されている精神疾患の治療法の確立に向けて重要な知見を提供した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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