研究課題
若手研究
高齢化の進展に伴い、認知症有病者のさらなる増加が見込まれ、有効な非薬物的認知症予防対策が検討されている。本研究では、まず高齢者の認知症予防行動に対する意識と実態に関する既存データの解析から着手した。調査対象者のうち8割強が認知症予防行動の有効性を認識しているとの結果が得られたが、認知症予防行動に対する意識と実践の実態は性別・年齢により異なり、プログラム開発に当たってこれら差異を踏まえる必要性があるという示唆を得た。次に、通信媒体を用いた認知症予防に関する先行研究レビューを行い、トレーニング内容に関する検討とともに、通信媒体の種類およびその操作性に関する検討を行った。その上で、研究協力自治体および企業とプログラム開発に着手した。本研究は、補助事業期間中に新型コロナウイルス感染拡大における社会情勢の大きな変化があり、この影響下で在宅型の非薬物的認知症予防方略に対するニーズの高まりを痛切に感じた。しかしその一方で、感染拡大の影響により、本来予定していた地域在住高齢者を対象とした介入研究は実施することができなかった。開発されたプログラムについて、検討の機会は限られたものの、被験者および他の研究者から積極的に意見を聴取するように努めた。意見を聴取する中で浮き彫りになったのが、依然として残る高齢者をめぐるデジタルデバイドの問題であった。通信媒体を活用することに対する抵抗を軽減するために、より多くの高齢者が社会とのつながりを感じつつデジタルスキルを楽しく学ぶことを可能とし、かつ、その修得プロセスが生きがいの創出・ウェルビーイングの向上に寄与し得る方略を開発することが必要と考え、この点にアプローチするプロジェクトを新たに立ち上げ、多額の助成金を得ることができた。
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J Alzheimers Dis
巻: 82 号: 2 ページ: 701-717
10.3233/jad-210047
120007183212