多発性硬化症におけるPD-1陽性T細胞を用いた進行性病態の解明

• 研究課題/領域番号: 18K15453
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分52020:神経内科学関連
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 千原 典夫 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (70781821)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2020-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2019年度)
• 配分額: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円); 2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円); 2018年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
• キーワード: 多発性硬化症 / PD-1 / 共抑制性受容体 / 共抑制性遺伝子プログラム / 抑制性受容体

研究成果の概要

多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)は中枢神経系の自己免疫疾患である。本研究ではMS患者髄液CD8陽性T細胞の共抑制性受容体PD-1陽性の割合が治療効果と相関することを発見した。疾患修飾薬治療によって寛解を得られた患者由来のPD-1陽性CD8陽性T細胞は共培養した他のT細胞分裂を抑制し、その遺伝子発現解析では申請者が腫瘍微小環境や免疫寛容など複数のT細胞機能不全に共通して同定した共抑制性遺伝子プログラム(co-iGP)に含まれる他の共抑制性受容体を発現していた。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究で解明を進める遺伝子プログラムはそのT細胞制御機能によって慢性持続炎症制御機序の鍵の一つとして汎用性があり、MS領域のみならず、免疫性神経疾患全般ひいては慢性炎症が二次的増悪因子となる生活習慣病や神経変性疾患など、より広い分野への波及効果が期待できる。今後、他のT細胞機能不全状態との共通性や相違性について解析を加え、免疫性神経疾患全般に応用可能な抑制性遺伝子プログラム同定を目指す。

研究成果

• [雑誌論文] A case of area postrema syndrome associated with sick sinus syndrome in an elderly patient with neuromyelitis optica spectrum disorder: case report (2020)
  • 著者名/発表者名: Komaki Ryouhei、Chihara Norio、Hara Atsushi、Fujisawa Satoshi、Muramae Naokazu、Nakasone Kazutaka、Ueda Takehiro、Sekiguchi Kenji、Matsumoto Riki
  • 雑誌名: Neurology and Clinical Neuroscience 巻: - 号: 4 ページ: 183-185
  • DOI: 10.1111/ncn3.12380
  • 査読あり
• [雑誌論文] 【知らずにすまない神経眼科疾患!】抗GQ1b抗体症候群 (2020)
  • 著者名/発表者名: 赤谷律,千原典夫
  • 雑誌名: OCULISTA 巻: 83 ページ: 20-27
• [雑誌論文] Plasmablasts and neuroimmunological disorders (2019)
  • 著者名/発表者名: Norio Chihara, Riki Matsumoto, Takashi Yamamura
  • 雑誌名: Immunological Medicine 巻: 29 号: 3 ページ: 1-5
  • DOI: 10.1080/25785826.2019.1659476
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Validation of the Guy's Neurological Disability Scale as a screening tool for cognitive impairment in multiple sclerosis (2019)
  • 著者名/発表者名: Ritsu Akatani, Norio Chihara, Hisatsugu Tachibana, Shunsuke Koto, Hisatomo Kowa, Fumio Kanda, Riki Matsumoto, Tatsushi Toda
  • 雑誌名: Multiple Sclerosis and Related Disorders 巻: 35 ページ: 272-275
  • DOI: 10.1016/j.msard.2019.08.012
  • 査読あり
• [雑誌論文] フィンゴリモドからナタリズマブへ疾患修飾薬変更後に疾患活動性が上昇した多発性硬化症の1例 (2019)
  • 著者名/発表者名: 赤谷 律, 千原 典夫, 刀坂 公崇, 上田 健博, 関口 兼司, 松本 理器
  • 雑誌名: 臨床神経学 巻: 59 号: 8 ページ: 536-540
  • DOI: 10.5692/clinicalneurol.cn-001307
  • NAID: 130007696273
  • ISSN: 0009-918X, 1882-0654
  • 査読あり
• [雑誌論文] 【T細胞・B細胞研究の進展】インターロイキン27を用いたT細胞における共抑制性 遺伝子群の誘導と転写制御 (2019)
  • 著者名/発表者名: 千原 典夫
  • 雑誌名: 臨床免疫・アレルギー科 巻: 71 ページ: 555-560
• [雑誌論文] 免疫学 ヘルパーT細胞における共抑制分子の発現制御機構 (2019)
  • 著者名/発表者名: 千原 典夫
  • 雑誌名: 医学のあゆみ 巻: 269 ページ: 549-550
• [雑誌論文] ニューロサイエンスの最新情報 Plasmablastsと免疫性神経疾患 (2019)
  • 著者名/発表者名: 千原 典夫,松本 理器,山村 隆
  • 雑誌名: Clinical Neuroscience 巻: 37 ページ: 744-746
• [雑誌論文] Induction and transcriptional regulation of the co-inhibitory gene module in T cells (2018)
  • 著者名/発表者名: Chihara N, Madi A, Kondo T, Zhang H, Acharya N, Singer M, Nyman J, Marjanovic ND, Kowalczyk MS, Wang C, Kurtulus S, Law T, Etminan Y, Nevin J, Buckley CD, Burkett PR, Buenrostro JD, Rozenblatt-Rosen O, Anderson AC, Regev A, Kuchroo VK.
  • 雑誌名: Nature 巻: 558 号: 7710 ページ: 454-459
  • DOI: 10.1038/s41586-018-0206-z
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Paraneoplastic NMOSD associated with EG junction adenocarcinoma expressing unprotected AQP4 (2018)
  • 著者名/発表者名: Sudo Atsushi、Chihara Norio、Takenaka Yu、Nakamura Tetsu、Ueda Takehiro、Sekiguchi Kenji、Toda Tatsushi
  • 雑誌名: Neurology - Neuroimmunology Neuroinflammation 巻: 5 号: 5
  • DOI: 10.1212/nxi.0000000000000482
  • NAID: 120006549204
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Dysregulated T cells in multiple sclerosis (2018)
  • 著者名/発表者名: Chihara Norio
  • 雑誌名: Clinical and Experimental Neuroimmunology 巻: 9 号: S1 ページ: 20-29
  • DOI: 10.1111/cen3.12438
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Going beyond a whack‐a‐mole game: A systems biology approach to immune tolerance (2018)
  • 著者名/発表者名: Chihara Norio、Madi Asaf、Anderson Ana C.、Kuchroo Vijay K.
  • 雑誌名: Clinical and Experimental Neuroimmunology 巻: 10 号: 1 ページ: 5-6
  • DOI: 10.1111/cen3.12487
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 多発性硬化症の病態評価における光干渉断層計(OCT)の意義についての検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 赤谷 律,千原 典夫,古東 秀介,盛 崇太朗,栗本 拓治,立花 久嗣,大塚 喜久,上田 健博,関口 兼司
  • 学会等名: 第60回日本神経学会学術大会
• [学会発表] NMOに対するMMFによる再発抑制と安全性確認のためのオープン試験 (2019)
  • 著者名/発表者名: 千原 典夫,古東 秀介,赤谷 律,立花 久嗣,大塚 喜久,上田 健博,関口 兼司
  • 学会等名: 第60回日本神経学会学術大会
• [学会発表] 当院で診療した重症筋無力症の臨床像および治療成績 (2019)
  • 著者名/発表者名: 的場 健人,千原 典夫,大塚 喜久,立花 久嗣,上田 健博,関口 兼司
  • 学会等名: 第60回日本神経学会学術大会
• [学会発表] 多発性硬化症の急性期治療反応性と相関する脳脊髄液中のPD-1陽性CD8+ T細胞の役割 (2019)
  • 著者名/発表者名: 古東 秀介,千原 典夫,赤谷 律,関口 兼司,戸田 達史
  • 学会等名: 第60回日本神経学会学術大会
• [学会発表] 多発性硬化症における制御性CD8+T細胞に関する検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 古東 秀介,千原 典夫,赤谷 律,関口 兼司,松本 理器,戸田 達史
  • 学会等名: 第31回日本神経免疫学会学術集会
• [学会発表] 再発性視神経炎に対する免疫抑制剤の治療効果 (2019)
  • 著者名/発表者名: 盛 崇太朗,栗本 拓治,村井 佑輔,上田 香織,坂本 麻里,千原 典夫,中西 裕子[山田],中村 誠
  • 学会等名: 第57回日本神経眼科学会総会
• [学会発表] 抗GAD抗体、抗LGI1抗体、抗GABAAR抗体陽性脳炎に対し、免疫治療が奏効した1例 (2019)
  • 著者名/発表者名: 中野 孝宏,的場 健人,立花 久嗣,大塚 喜久,千原 典夫,上田 健博,関口 兼司,濱口 浩敏,古和 久朋,松本 理器
  • 学会等名: 第37回日本神経治療学会学術集会
• [学会発表] 異常行動とけいれん発作で発症し、3種の抗神経抗体が陽性であった自己免疫性脳炎の1例 (2019)
  • 著者名/発表者名: 的場 健人,中野 孝宏,立花 久嗣,大塚 喜久,千原 典夫,上田 健博,関口 兼司,古和 久朋,松本 理器
  • 学会等名: 第53回日本てんかん学会学術集会
• [学会発表] 両側性の faciobrachial dystonic seizure を呈した抗 LGI1 抗体陽性辺縁系脳炎の 1 例 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 星一郎,末廣 大知,森本 耕平,千原 典夫,辻 佑木生,立花 久嗣,上田 健博,関口 兼司,松本 理器
  • 学会等名: 第15回日本てんかん学会近畿地方会
• [学会発表] Plasmablasts and neuroimmunological disorders (2019)
  • 著者名/発表者名: Chihara N
  • 学会等名: Asia-Pacific School of Neuroimmunology (APSNI) of the International Society of Neuroimmunology
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Induction and transcriptional regulation of the co-inhibitory gene module in T cells (2019)
  • 著者名/発表者名: Chihara N
  • 学会等名: Kobe Univeristy-University of Washington Joint Symposium on Molecular Pharmacology
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Paraneoplastic NMOSD preceding immune-escape of EG junction adenocarcinoma (2018)
  • 著者名/発表者名: Norio Chihara, Atsushi Sudo, Shusuke Koto, Ritsu Akatani, Kenji Sekiguchi, Tatsushi Toda
  • 学会等名: 14th International Congress of Neuroimmunology
  • 国際学会
• [学会発表] The role of PD-1 expressing T cells in the cerebrospinal fluid of MS and NMO (2018)
  • 著者名/発表者名: 千原 典夫, 古東 秀介, 赤谷 律, 関口 兼司, 戸田 達史
  • 学会等名: 第59回日本神経学会学術大会
• [学会発表] 日本語版Guy’s Neurological Disability Scaleを用いた多発性硬化症の臨床的評価 (2018)
  • 著者名/発表者名: 赤谷 律, 千原 典夫, 渡部 俊介, 立花 久嗣, 古東 秀介, 大塚 喜久, 上田 健博, 関口 兼司, 古和 久朋, 戸田 達史
  • 学会等名: 第59回日本神経学会学術大会
• [学会発表] PD-1陽性CD8+ T細胞は多発性硬化症の治療効果を反映する (2018)
  • 著者名/発表者名: 古東 秀介, 千原 典夫, 赤谷 律, 関口 兼司, 戸田 達史
  • 学会等名: 第59回日本神経学会学術大会
• [学会発表] 腫瘍随伴性NMOSDにおけるPD-1/PD-L1経路の役割 (2018)
  • 著者名/発表者名: 千原 典夫, 首藤 篤史, 古東 秀介, 赤谷 律, 関口 兼司, 戸田 達史
  • 学会等名: 第30回日本神経免疫学会学術集会
• [学会発表] 多発性硬化症におけるPD-1陽性CD8+ T細胞の脳脊髄液および末梢血での比較 (2018)
  • 著者名/発表者名: 古東 秀介, 千原 典夫, 赤谷 律, 関口 兼司, 戸田 達史
  • 学会等名: 第30回日本神経免疫学会学術集会
• [学会発表] 抗ナタリズマブ抗体が陽性となった多発性硬化症の1例 (2018)
  • 著者名/発表者名: 赤谷 律, 千原 典夫, 刀坂 公崇, 立花 久嗣, 大塚 喜久, 上田 健博, 関口 兼司, 古和 久朋, 戸田 達史
  • 学会等名: 第30回日本神経免疫学会学術集会
• [学会発表] 多発性硬化症/視神経脊髄炎における調節不全T細胞の役割について (2018)
  • 著者名/発表者名: 千原 典夫, 古東 秀介, 赤谷 律, 関口 兼司
  • 学会等名: 第46回日本臨床免疫学会総会
• [学会発表] 疾患修飾薬変更後に再発を繰り返し，抗ナタリズマブ抗体が陽性となった多発性硬化症の1例 (2018)
  • 著者名/発表者名: 赤谷 律, 千原 典夫, 刀坂 公崇, 立花 久嗣, 大塚 喜久, 上田 健博, 関口 兼司
  • 学会等名: 第36回日本神経治療学会学術集会
• [備考] 神戸大学大学院医学研究科・内科学講座 脳神経内科学分野
  • URL: https://www.med.kobe-u.ac.jp/sinkei/
• [備考] T細胞における共抑制性遺伝子プログラムの発現の制御
  • URL: http://first.lifesciencedb.jp/archives/18371