研究実績の概要 |
睡眠は脳の発達に重要な生理機構だが、3歳までの睡眠の問題は後年の発達のリスクを高めるとされている(Touchette et al., Sleep. 2007)。しかし、乳児期のどのような睡眠の問題が後年の発達に影響を及ぼすかについては明らかとなっていない。また、神経発達症(NDD)児は定型発達(TD)児に比して睡眠の問題を有することが多い(Mindell, & Owens, A CLINICAL GUIDE TO Pediatric SLEEP. 3rd ed. 2015)。 これらのことから日本人乳幼児の睡眠を総合的にスクリーニングするツールの開発が必要であるが、本研究ではその前段として、後年の発達に影響があるとされる3歳までの睡眠の様子について養育者の回顧を通してNDD児とTD児の違いを明らかにし、早期介入が必要な睡眠の問題を明らかにすることを目的として、海外で用いられている乳幼児期の睡眠習慣を評価する養育者自記式の質問紙、Brief infant sleep questionnaire(BISQ)(Sadeh A, Pediatrics. 2004)を基に、日本の添い寝文化等の睡眠習慣、住環境を反映したインタビューガイドに沿ってNDD児とTD児の養育者を対象に、3歳までに睡眠で養育困難を引き起こしていたケース等、その時期の問題の内容や月齢による変化等についてインタビュー調査を実施した。 その結果、NDD児とTD児では異なる睡眠の問題を抱えていることが示された。なかでも、極めて頻回な中途覚醒や短時間睡眠など、NDD児のみに見られる睡眠の問題があること示唆された。R5年度は、これらの研究成果について学会発表および意見交換を行い、より精度を高めるべく、インタビュー調査を継続した。今後、論文投稿の準備を進めていく予定である。
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