多角的アプローチに基づくニーマンピック病C型の脂質代謝異常機構の解明

• 研究課題/領域番号: 18K15699
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 前川 正充 東北大学, 大学病院, 准教授 (70572882)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2020-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2019年度)
• 配分額: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円); 2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円); 2018年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
• キーワード: ニーマンピック病 / 脂質解析 / LC/MS/MS / 質量分析 / コレステロール / スフィンゴ脂質 / 新規リン脂質 / 化学診断 / ニーマンピック病C型 / 構造解析 / 脂質 / コレステロール代謝物 / 新規クラスリン脂質 / LC-MS/MS / 脂質異常 / ライソゾーム病 / スフィンゴ脂質代謝物 / LC/ESI-MS/MS / リピドミクス

研究成果の概要

本研究では、ニーマンピック病C型 (NPC) に特徴的な脂質解析、細胞内異常代謝の局在解析、および脂質代謝の網羅的な変動解析を進めた。誘導体化法と質量分析法を駆使してLysosphingomyelin-509の構造解析を行った結果、新規脂質N-palmitoyl-O-phosphocholine-serineと同定するに至った。次いで、細胞内小器官の蛍光染色試薬を各種検討し、正しく細胞内小器官画分を追跡できることを確認した。各種脂質について、メタボロミクス解析手法を用いて、NPC患者に特徴的な脂質の変動を見出した。
本研究によって、NPCの新規脂質代謝異常の一端が明らかとなった。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究の成果で、未知脂質lysosphingomyelin-509の構造を決定する過程で、当該分子をN-palmitoyl-O-phosphocholine-serine (PPCS) と明らかにした。PPCSはデータベースに無い新規分子であり、こうした新たな分子を発見できたことは生化学的にも意義が大きい。さらに、網羅的解析からも新たな分子変化が見出されており、今後さらなる解析が期待される。PPCSはニーマンピック病の診断に極めて有用であり、今後の本疾患の診断に役立てられるものと考えられる。

研究成果

• [国際共同研究] University Hospital of Munster/University Medical Center Mainz(ドイツ)
• [国際共同研究] UCL Institute of Child Health(英国)
• [雑誌論文] Structural determination of lysosphingomyelin-509 and discovery of novel class lipids from patients with niemann–pick disease type C (2019)
  • 著者名/発表者名: Masamitsu Maekawa, Isamu Jinnoh, Yotaro Matsumoto, Aya Narita, Ryuichi Mashima, Hidenori Takahashi, Anna Iwahori, Daisuke Saigusa, Kumiko Fujii, Ai Abe, Katsumi Higaki, Shosei Yamauchi, Yuji Ozeki, Peter T Clayton, Hiroaki Yamaguchi, Nariyasu Mano, et al.
  • 雑誌名: International Journal of Molecular Sciences 巻: 20 号: 20 ページ: 5018-5018
  • DOI: 10.3390/ijms20205018
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Investigation of diagnostic performance of five urinary cholesterol metabolites for Niemann-Pick disease type C (2019)
  • 著者名/発表者名: Masamitsu Maekawa, Isamu Jinnoh, Aya Narita, Takashi Iida, Daisuke Saigusa, Anna Iwahori, Hiroshi Nittono, Torayuki Okuyama, Yoshikatsu Eto, Kousaku Ohno, Peter T. Clayton, Hiroaki Yamaguchi, Nariyasu Mano
  • 雑誌名: Journal of Lipid Research 巻: 60 号: 12 ページ: 2074
  • DOI: 10.1194/jlr.m093971
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Diagnostic performance evaluation of sulfate-conjugated cholesterol metabolites as urinary biomarkers of Niemann-Pick disease type C (2019)
  • 著者名/発表者名: Masamitsu Maekawa, Aya Narita, Isamu Jinnoh, Takashi Iida, Thorsten Marquardt, Eugen Mengel, Yoshikatsu Eto, Peter T. Clayton, Hiroaki Yamaguchi, Nariyasu Mano
  • 雑誌名: Clinica Chimica Acta 巻: 494 ページ: 58-63
  • DOI: 10.1016/j.cca.2019.03.1610
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] ニーマンピック病C型の尿中診断バイオマーカーとして有用な抱合型コレステロール代謝物 (2018)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、山口浩明、眞野成康
  • 雑誌名: JSBMS Letters 巻: 43 ページ: 45-50
• [学会発表] 質量分析法を基盤とするニーマンピック病C型の新規バイオマーカー探索 (2020)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、眞野成康
  • 学会等名: 日本薬学会第140年会
  • 招待講演
• [学会発表] クロマトグラフィーを活用した代謝疾患の新規化学診断法の開発 (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川正充
  • 学会等名: 第30回クロマトグラフィー科学会議
  • 招待講演
• [学会発表] Discovery of biomarkers based on mass spectrometry (2019)
  • 著者名/発表者名: Masamitsu Maekawa
  • 学会等名: International Conference on Clinical Lipid Nutrition
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 病態分子機構解明を指向した新規バイオマーカー解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川正充
  • 学会等名: 第1回日本質量分析学会東北談話会
  • 招待講演
• [学会発表] ニーマンピック病C型のバイオマーカー探索 (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、神納勇、岩堀杏南、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第30回日本臨床化学会東北支部総会
  • 招待講演
• [学会発表] 質量分析を活用したニーマンピック病C型の診断バイオマーカーLysosphingomyelin-509の同定 (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、松本洋太郎、神納勇、岩堀杏南、高橋秀典、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第17回次世代を担う若手のためのフィジカル・ファーマフォーラム
• [学会発表] ニーマンピック病C型の未知バイオマーカーLysosphingomyelin-509の同定 (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、松本洋太郎、真嶋隆一、高橋秀典、岩堀杏南、成田綾、奥山虎之、衛藤義勝、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第61回日本先天代謝異常学会総会
• [学会発表] ニーマンピック病C型の未知バイオマーカーLysosphingomyelin-509の同定と新規クラス脂質の発見 (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、松本洋太郎、神納勇、岩堀杏南、高橋秀典、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第32回バイオメディカル分析科学シンポジウム
• [学会発表] 血清リン脂質類のLC-MS/MS分析に基づくニーマンピック病C型の迅速スクリーニング法の検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 岩堀杏南、前川正充、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第59回日本臨床化学会年次学術集会
• [学会発表] LC/MS/MSによるニーマンピック病C型モデル細胞中ステロイドホルモン類の挙動解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 阿部 愛、前川 正充、小倉 次郎、山口 浩明、眞野 成康
  • 学会等名: 第59回日本臨床化学会年次学術集会
• [学会発表] グローバルメタボロミクスによるニーマンピック病C型患者血液に特徴的なピーク探索 (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、岩堀杏南、金光祥臣、三枝大輔、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第44回日本医用マススペクトル学会年会
• [学会発表] ニーマンピック病C型の迅速スクリーニング法 (2019)
  • 著者名/発表者名: 岩堀杏南、前川正充、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第32回バイオメディカル分析科学シンポジウム
• [学会発表] ニーマンピック病C型患者血液のグローバルメタボロミクス (2019)
  • 著者名/発表者名: 前川 正充, 岩堀 杏南, 金光 祥臣, 成田 綾, 三枝 大輔, 山口浩明, 眞野 成康
  • 学会等名: 第26回クロマトグラフィーシンポジウム
• [学会発表] ニーマンピック病C型患者に特徴的な5種の抱合型コレステロール代謝物の尿中濃度同時測定法の構築 (2019)
  • 著者名/発表者名: 神納勇、前川正充、成田綾、飯田隆、山口浩明、衛藤義勝、大野耕策、Peter Clayton、眞野成康
  • 学会等名: 日本薬学会第139年会
• [学会発表] LC/ESI-MS/MSを用いるニーマンピック病C型モデル細胞のステロイドホルモン代謝解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 阿部愛、前川正充、小倉次郎、須賀隆浩、檜垣克己、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 日本薬学会第139年会
• [学会発表] 尿中のニーマンピック病C型診断マーカー候補分子の一斉分析と診断性能評価 (2018)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、神納勇、成田綾、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第29回日本臨床化学会東北支部総会
  • 招待講演
• [学会発表] LC/ESI-MS/MSを用いるコレステロール代謝物網羅的解析法の基礎的検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、河俣圭太、阿部愛、三枝大輔、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第58回日本臨床化学会年次学術集会
• [学会発表] ニーマンピック病C型の新規尿中診断マーカーの開発 (2018)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第16回次世代を担う若手のためのフィジカル・ファーマフォーラム
  • 招待講演
• [学会発表] 臨床化学を基盤としたニーマンピック病C型の診断・治療への挑戦 (2018)
  • 著者名/発表者名: 前川正充、成田綾、崎山快夫、山口浩明、眞野成康
  • 学会等名: 第28回日本医療薬学会年会
  • 招待講演
• [学会発表] 5種の抱合型コレステロール代謝物同時定量によるニーマンピック病C型診断法 (2018)
  • 著者名/発表者名: 前川 正充、神納 勇、成田 綾、飯田 隆、山口 浩明、衛藤 義勝、大野 耕策、Peter Clayton、眞野 成康
  • 学会等名: 第40回胆汁酸研究会
• [備考] 東北大学病院薬剤部業績一覧
  • URL: http://www.pharm.hosp.tohoku.ac.jp/Study/gyouseki.html