研究課題
若手研究
低酸素虚血性脳症と脳室周囲白質軟化症は,分娩時の脳虚血により脳神経細胞が低酸素に陥ることで発生する.これらは,脳性麻痺へと進行し脳神経細胞に不可逆的な障害をもたらす.我々は,これまでに,低酸素虚血性脳症マウスモデルの鼻腔内に羊水幹細胞を移植して,脳性麻痺への進行を予防する可能性を見出してきた.今回,我々は,脳室周囲白質軟化症モデルラットを作製し,羊水幹細胞をマウスの腹腔内に投与し治療効果の検討を行った.その結果,投与した羊水幹細胞が腹腔内で凝集体を形成し,脳障害を抑制する可能性が示唆された.
脳性麻痺は現時点で有効な治療法の存在しない周産期難治性神経疾患である.ヒト羊水幹細胞は胎児から樹立可能な間葉系幹細胞の一種であり,抗炎症作用があることが知られている.我々はこれまでに,低酸素虚血性脳症モデルマウスに羊水幹細胞を経鼻投与することで一定の治療効果を見出してきた.今回,我々は類似のモデルである脳室周囲白質軟化症モデルラットに対して,ヒト羊水幹細胞を腹腔内投与することで,細胞が腹腔内で凝集体を形成し,これにより全身の炎症が抑制されて脳障害が予防される可能性を見出した.この知見は,脳性麻痺に対する革新的な治療法になる可能性があると自負しており,今後のさらなる発展が望まれる.
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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