研究課題
若手研究
本研究課題では、傷害に際して成体の腸上皮細胞の特性が大きく変化し、腸の効率的な再生を担うことを明らかにした。この運命転換は、成体の成熟型上皮細胞が発生段階の未熟上皮細胞に一過性にリプログラムされる「胎児化」であり、分子レベルでは細胞外基質依存性の転写因子YAP/TAZの活性上昇に基づく現象であった。腸の再生機構の詳細をより深く理解するために、発生過程を数理モデルや移植システムにより解析し、胎児の腸を構成する上皮細胞に、等しく組織幹細胞に成熟する能力があることを明らかにした。一連の結果は、個体内でも突出した腸上皮の再生能力を、その分子機構や発生過程との対比から明らかにする重要な成果である。
本研究成果は、腸という個体内でも突出した再生能力を備えた臓器の特性を明らかにする学術的に重要な研究である。組織の再生における胎児化の機構や、その過程における細胞外基質の役割を当該研究領域で初めて明らかにした研究成果である。すでに腸管における同様の機構に関する報告だけでなく、神経組織や肝組織の再生にも類似した機構があることが報告されるなど、組織再生に関わる基礎研究の重要なテーマとなっている。本研究は、細胞に若返る能力があるというメッセージを有しており、このメッセージは広く社会的な反響を惹起しうるものであると考えている。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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