研究課題
若手研究
粘膜傷害時における腸管幹細胞の挙動を探索することを目的し、バックアップ幹細胞としてのBmi1陽性幹細胞の機能制御メカニズムを転写因子KLF4の機能から解明することを主眼とした。小腸上皮でKLF4は正常時においてはBmi1+細胞を静的状態に維持し、杯細胞分化を制御していた。オルガノイドをもちいて、放射線傷害時における粘膜再生の過程を再現し、Bmi1陽性細胞特異的にKLF4をノックアウトすると、放射線性傷害後の粘膜再生が遅延することが示された。KLF4は正常時および放射線粘膜傷害において、小腸粘膜上皮の恒常性維持・杯細胞分化を制御していることが明らかになった。
本研究では、転写因子KLF4が消化管幹細胞機能を制御し、組織恒常性維持・粘膜傷害時の再生に関与していることを明らかにした。KLF4はとくに組織恒常性維持においては杯細胞分化を制御していることが示唆され、炎症時の消化管バリア機能の制御においても重要な役割を持つことが示唆される。また、オルガノイドを用いて、放射線照射後の粘膜傷害後の生体内の再生の過程を、ex-vivoで再現することを可能とし、これは正常時のみならず粘膜傷害時の小腸上皮の幹細胞機能制御機構の解明のために有用な研究モデルとなる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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