研究課題
若手研究
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD) の肝においてはオートファジーが抑制されており、病態進展に寄与すると考えられている。遊離脂肪酸が肝細胞におけるオートファジーに及ぼす影響を解析したところ、不飽和脂肪酸と異なり、飽和脂肪酸はオートファゴソームとライソゾームの融合を抑制し、この障害は小胞体ストレスと相関してしていることを見出した。また、小胞体内のカルシウム濃度の低下が主な要因となっており、カルシウム輸送蛋白であるSERCAが関与していることを見出した。そこで、飽和脂肪酸によるオートファジー障害の改善をSERCA活性化薬に期待したが、残念ながらその効果は認めなかった。
「遊離脂肪酸とオートファジー」の研究は肝領域のみならず様々な領域でなされているが、現在のところ、オートファジーを促進する化合物はあるものの、超選択的に促進する化合物はなく、ヒトの疾患でオートファジーをターゲットにした治療は限られている。本研究によりオートファジーの障害機序を明らかにすることで「オートファジーの誘導」ではなく、「障害されたオートファジー機能の回復」という新たな治療戦略の基盤作りが可能となることを期待している。現在食事療法や運動療法が主体であるNASHにおいても、本研究によってオートファジーのメカニズムがさらに理解されれば、NASH治療の一助になると考える。
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