研究課題/領域番号 |
18K15793
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 慎哉 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (80790352)
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研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | スルフォラファン / 肝癌 / 抗腫瘍効果 / ソラフェニブ / sulforaphane / Nrf2 / 血管新生 |
研究開始時の研究の概要 |
肝癌に対してその有効性が科学的に実証されている第一選択抗腫瘍剤はSorafenibであるが、作用機序の異なるSulforaphneはSorafenibに続く抗腫瘍剤として期待され、さらに肝線維化進展抑制効果が動物実験で報告されており、汎用性が高いと考える。 実臨床では、Sorafenibの通常量処方によって多彩な副作用が高率に出現することで長期継続投与が困難になるケースが少なくない。そのため、Sorafenib/Sulforaphaneの併用 でSorafenib投与量が減量できれば、治療効果を維持して副作用を抑制できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
in vivo実験としてヒト肝癌細胞株(HepG2、Huh-7)をnude mouse(BALB/cSlc-nu/nu、6wks)の左右両背部の皮下に3×106個ずつ接種したXenograftモデルを作成し、Sulforaphane(5μmol/day/mouse、以下SFNとする)の経口投与中における腫瘍体積変化を経時的に評価すると同時に、皮下から採取した腫瘍を組織学的に検討した。 両肝癌細胞にて細胞株接種後5週目の腫瘍体積が対照群に比べてSulforaphane投与群では半減していた。腫瘍内のNrf2の標的遺伝子(HO-1、MRP2、NQO1)のmRNA発現をrealtime PCR法を用いて測定するとSFN投与群で上昇していた。細胞周期マーカーの検討からはSFN投与群ではCyclinD1、CDK2の発現が抑制されており、G1arrestが起こっている可能性が示唆された。また免疫組織学的な検討により、SFN投与群ではKi67陽性細胞数が対照群と比較して有意に減少しており、Cleaved Caspase3陽性細胞数が増加していたことから、腫瘍細胞の増殖抑制とアポトーシスの亢進が確認された。さらに腫瘍の増大には血管新生が大きな役割を果たしているので、血管新生の重要な蛋白であるCD34を免疫染色にて評価すると、いずれの細胞においてもコントロール群と比較しSFN投与群で陽性領域の減少を認めた。定量するとSFN投与群で有意に抑制していた。以上まとめると、in vivoにおいてSFN投与によりヒト肝癌細胞株の増殖は有意に抑制しており、アポトーシスの亢進も示唆された。さらに腫瘍内部の血管新生も抑制されていた。 中断再開後は、メカニズムの解明のためin vitroの実験を進めていく予定である。
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