研究課題
若手研究
近年増加傾向にある非アルコール性脂肪肝炎は、肝細胞内の脂肪蓄積、単核球浸潤と壊死性炎症、肝星細胞活性化による肝線維化を特徴とする原因不明の進行性肝疾患である。本研究では、これら三系統の細胞株を用いて、非アルコール性脂肪肝炎の肝内に類似した条件で細胞間の相互作用の検証をin vitroで行った。活性化単球細胞、培養肝細胞、肝星細胞の共培養にて、飽和脂肪酸であるパルミチン酸の存在下で、肝星細胞の活性化を認めた。さらにTM6SF2遺伝子のノックダウンを行った細胞株による共培養にて、肝星細胞の活性化と肝細胞内の脂肪合成亢進が同時に認められ、非アルコール性脂肪肝炎の病態に類似した培養系と考えられた。
近年、脂肪肝を特徴とする非アルコール性脂肪性肝炎が増加し、健康上の問題の一つとなっている。その背景には、正確に病態を再現した実験系が確立されていない点が挙げられる。非アルコール性脂肪性肝炎の正確な機序はまだ不明であるが、肝細胞の脂肪蓄積と膨化、腸管細菌由来因子の流入と単核球の肝内浸潤、肝星細胞活性化による膠原線維増加と肝線維化が進行し、遺伝的背景も関与する事が明らかになっている。肝細胞、単核球、肝星細胞の各培養細胞を共培養し、遺伝的なリスク因子であるTM6SF2遺伝子の条件を加味し、非アルコール性脂肪性肝炎の病態をより正確に模倣したモデルを構築することは、社会的に意義があると考えられる。
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