研究課題
若手研究
慢性腎臓病患者では心血管疾患が,逆に心疾患患者では腎機能低下が予後に大きな影響を与えている.この心腎連関の機序の一つとして,動脈硬化を促進する胎盤増殖因子(PlGF)とPlGFに拮抗的に働く可溶性Flt-1(sFlt-1)の発現不均衡がある.本研究では既存薬剤である球形吸着炭AST-120の投与によりsFlt-1の発現低下が抑制され,抗動脈硬化作用を示すことが示唆された.また,慢性腎臓病を多く含む急性心不全患者において,血清PlGF値の上昇が予後悪化に強く関連していることを示した.
実臨床において,心血管疾患を有している患者の多くで腎機能が低下し,それらの症例においては特に治療に難渋している.心腎連関の概念は近年注目されており,その機序の解明とともに新規の治療薬を開発することが重要な意味を持っている.今回,既存薬剤が慢性腎臓病患者の抗動脈硬化作用に効果がある可能性を示したことは意味のあることである.また,入院時の胎盤増殖因子(PlGF)の値が予後予測につながることから,現場での治療選択に役立つことが考えられる.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
Circulation Journal
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http://www.naramed-u.ac.jp/~1int/