研究課題
若手研究
大動脈解離病態では大動脈壁へのストレスが惹起する炎症と細胞外マトリックス破壊の重要性が指摘されている。我々はβ-アミノプロピオニトリルおよびアンジオテンシンⅡの持続注入により大動脈解離のマウスモデルを作成した。本研究は細胞内シグナル伝達分子である接着斑キナーゼ(focal adhesion kinase:FAK)に着目し、解離の病態との関連を調査した。FAK阻害剤の投与は、特に上行大動脈を含む大動脈弓において大動脈解離の重症度を有意に減少させた。さらに、死亡率はFAK阻害剤の投与により有意に改善させた。FAKは大動脈壁に組織破壊を引き起こすことが示唆された。
大動脈解離は大動脈中膜が突然断裂する致死的疾患である。社会的責任が大きくなる50代 以上の男性に多く発症し、突然死を来すことがあるが、外科的治療の他に積極的な内科治療は存在しない。本研究の結果からFAKは大動脈壁に病理学的ストレスを伝達して組織破壊を引き起こし、大動脈解離の病因において中心的な役割を果たすことが示唆された。また、FAK阻害薬が解離の増悪抑制と死亡率減少に有効であることが明らかとなり、解離進行阻止療法の開発につながる新しい知見となった。
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PLOS ONE
巻: 15 号: 3 ページ: e0229888-e0229888
10.1371/journal.pone.0229888