研究課題
若手研究
急性心筋梗塞患者の入院後初回の糞便で次世代型シ-ケンス技術を用いて腸内細菌叢メタゲノム解析を行い腸内細菌の多様性を解析し、急性期、慢性期の血清サンプルよりTMAO測定を行った。TAMOは腸内細菌から代謝される物質である。今回の研究では慢性期の血清TMAO値が高値であると、冠動脈動脈硬化進展と関与し、その後の心血管イベント発生とも関係することが明らかになった。また、腸内細菌の多様性の高い(腸内細菌がバランスよく豊かな状態)では抗血小板薬の効果も良く、血液の血栓性が良く抑制されていた。以上より急性心筋梗塞患者においても腸内細菌叢やその代謝物質が病態や予後に影響を及ぼしていることが考えられる。
心筋梗塞、脳梗塞は主要な死因であり、死亡だけでなく患者に障害を残し、介護需要、医療需要に占める割合も大きい。動脈硬化性疾患の主要な原因として、糖尿病や高コレステロール血症、高血圧などがあるがその原因はまだ半分も解明されていない。腸内細菌叢は宿主の代謝や炎症と重要に関与することが最近わかってきており、動脈硬化性疾患の一つの重要な原因となる可能性がある。今回の我々の研究結果により、腸内細菌叢と動脈硬化性疾患の関連が明らかになってきた。動脈硬化性疾患の新たな介入ターゲットとなる可能性があり今後の更なる研究によって調査される必要がある。
すべて 2021 2019
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)