研究実績の概要 |
初年度は下記の検討を行い、成果をえた。 【目的1】Srcファミリー分子のHDAC阻害剤の併用療法のターゲットとしての可能性を明らかにする。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の刺激によりCTCLの細胞株においてSrcの活性化(チロシン塩基のリン酸化)が起こることをタンパク質レベルで明らかにした。この作用は複数のHDAC阻害剤で、かつ複数のCTCLの細胞株で認められた。即ちHDAC阻害剤によりCTCLの細胞でSrcキナーゼ経路の活性化が起きること、Srcキナーゼ経路がHDAC阻害剤の併用療法のターゲットとなりうることを明らかにした。 【目的2】Srcキナーゼ阻害剤を併用することで、どのようなメカニズムでHDAC阻害剤の抗腫瘍効果が増強するか。Srcキナーゼ阻害剤によるHDAC阻害剤による抗腫瘍効果の増強の主なメカニズムはアポトーシスの誘導であることを、フロサイトメトリーを用いて明らかにした。この作用は複数のSrcキナーゼ阻害剤において共通して認められた。 【目的3】Srcキナーゼ阻害剤はHDAC阻害剤獲得耐性株に有効であるか。Srcキナーゼ阻害剤がHDAC阻害剤に対する獲得耐性に有効であるか今後検討するために、3つの皮膚T細胞リンパ腫細胞株(Hut78, HH, MJ)から3つのHDAC阻害剤(Vorinostat, Romidepsin, Belinostat)に対する獲得耐性株を各々樹立した。これらの耐性株は各々他の薬剤に関しても耐性を獲得していた。
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