研究課題
若手研究
腸管炎症により腸内細菌が体内に浸潤することで、造血応答に何らかの影響を及ぼすのではないかと考え、腸炎が造血に与える影響について検討を行った。デキストラン硫酸ナトリウム投与による腸管炎症モデルマウスを用いて造血応答を解析したところ、急性腸炎下では骨髄において造血幹・前駆細胞(HSPC)が増加した。さらに、腸間膜リンパ節においても増加していたことから、腸炎によるHSPCの炎症局所への遊走が示唆された。TRIF/Myd88欠損マウスを用いて解析したところ、腸炎下でも骨髄やリンパ節におけるHSPCの増加を認めなかったことから、これらの造血応答がTLRシグナルによって制御されていることが示唆された。
“炎症と造血”は造血分野において近年ホットな研究領域であり、老化に伴い増加する炎症疾患との関連性だけでなく生体防御や組織損傷・修復における機能の観点からも注目を集めている分野である。本研究では炎症反応の起こる場である血液の幹細胞(造血幹細胞)をモデルとして、これまで明らかにされてこなかった腸管炎症下における腸内細菌依存的な造血応答制御を分子レベルで明らかにした。腸内細菌関連分子を新たな造血制御因子として捉えており、造血における新たなバイオロジーを提示したという点において、基礎医学への貢献は大きく学術的意義ならびに社会的意義の高い研究である。
すべて 2020 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Stem Cell Reports.
巻: 14 号: 1 ページ: 49-59
10.1016/j.stemcr.2019.11.011
120006777032
Wiley Interdiscip Rev Dev Biol
巻: 27 号: 4
10.1002/wdev.341
臨床血液
巻: 59 号: 10 ページ: 1955-1961
10.11406/rinketsu.59.1955
130007496839