研究課題
若手研究
骨髄にホーミングした造血幹・前駆細胞について網羅的遺伝子発現解析を行った結果として、抗癌剤5-FU投与後環境が、造血幹・前駆細胞の細胞周期を活性化させる遺伝子群の発現を上昇させることが明らかとなった。上流解析によって、骨髄抑制後環境が増殖因子を産生していることが示唆された。更に、ノックアウトマウスを用いた解析によって、増殖因子の産生機序としてIL-33及びその下流分子であるMyD88が重要な働きをしていることを示した。本研究のこれまでの結果から、抗癌剤によるストレス負荷によって、骨髄環境が変化し、造血幹・前駆細胞に活性化シグナルを供給し、それが骨髄機能回復に寄与することが示された。
本研究の結果から、「抗癌剤投与後の骨髄機能の回復はどのような機序で起こるのか」という疑問の一端を解決した。本研究結果は、骨髄移植の際に、骨髄を破壊する前処置が造血幹細胞の生着に促進的に働くこと理由を説明するモデルとも捉えられる。本研究から得られた結果は、今後造血幹細胞移植ソースとしての造血幹細胞を体外増幅する際に必要な情報をもたらしうる、という点で意義が大きい。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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