研究課題
若手研究
本研究では、多発性骨髄腫におけるクラスI ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の治療標的としての意義を検討した。骨髄腫細胞において、未治療群またはHDAC3抑制群と比較して、HDAC1抑制では、骨髄腫細胞の生存増殖においてマスター転写因子IRF4と代謝調節因子PIM2の発現低下に繋がることを明らかにした。PIM2の構成的な発現にはHDAC1-IRF4経路が重要であること、腫瘍微小環境からの外的因子により、内在的経路とは別にPIM2は一層発現を高めること、これらの制御機構を標的とするクラスI HDAC阻害薬とPIM阻害薬の併用療法がin vitroおよびin vivoで有効であることを実証した。
HDACは遺伝子発現抑制に働くエピゲノム因子として知られているが、骨髄腫細胞では、HDAC1が高発現しているにも関わらず、腫瘍では種々の遺伝子が高発現している。本研究では、骨髄腫細胞でHDAC1によるIRF4およびPIM2の発現維持機構の一端を解明し、HDAC1による遺伝子発現制御に関する新たな知見を提唱した点に学術的意義がある。また、骨髄腫に対するクラスI HDACとPIMを標的とする併用療法の開発を行い、HDACアイソフォームの役割を明らかにしながらメタボリックシフトを標的とする治療法の開発に繋げた本研究は、他の悪性疾患にも応用可能な研究であり、社会的意義を有すると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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