研究課題
若手研究
健常人由来の血液細胞と多発性骨髄腫由来細胞株を共培養することで、通常はごく少数しか存在しない骨髄由来抑制細胞を血液細胞から誘導することに成功した。この誘導に関わる物質を調べてみると、サイトカインの一種であるCCL5およびMIFと呼ばれる分子が骨髄由来抑制細胞の誘導に関わっていることが解明された。さらに、すでに一般的に使用されている多発性骨髄腫に対する薬を検討した結果、免疫調整薬と呼ばれる薬に骨髄由来抑制細胞を選択的に低下させる効果があることもわかった。免疫調整薬は、血液細胞にも影響を与え、骨髄由来抑制細胞を産生しにくくさせる効果があった。
近年、腫瘍に対する免疫療法は、従来の治療に難治性であった患者に対しても劇的な効果を示す可能性があることから注目を浴びている。一方で、免疫療法に対する治療抵抗性の一因に腫瘍による免疫抑制が挙げられており、その克服が課題となっている。本研究は、腫瘍による免疫抑制の主体と考えられている骨髄由来抑制細胞がどのように誘導されるかを一部解明したものであり、今後、骨髄由来抑制細胞を制御し、免疫療法の効果を高める戦略を開発する上での礎となると考えている。また、既存の多発性骨髄腫に対する薬による骨髄由来抑制細胞への効果についても解明しており、今後の治療反応性予測などにも応用できる可能性がある。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Br J Haematol
巻: 191 号: 5 ページ: 784-795
10.1111/bjh.16881