研究課題/領域番号 |
18K16148
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
千藤 荘 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40813415)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | MDSC / SKGマウス / 関節炎 / 間質性肺炎 / 組織特異的 / 関節リウマチモデルマウス / ケモカインレセプター / 抑制能 / T細胞増殖 / Th17細胞分化 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄由来抑制細胞(MDSC)は悪性腫瘍や炎症性疾患で骨髄から誘導される抑制能をもった細胞集団であるが、各組織でどのような動態を示すか、表現型や機能からさらに詳細な異なるサブセットに分類できるかは不明である。これまでの研究で、関節由来MDSCは脾臓由来MDSCとも骨髄由来MDSCとも異なる性質を持つことを明らかにした。また、JAK阻害剤がSTATのリン酸化を抑制し炎症肺のMDSCを増加させることなどを明らかにした。これらの結果は、炎症組織由来MDSCはリンパ組織由来MDSCと異なった性質を持ち、ある種の薬剤はMDSCの増殖や機能を制御することが示唆され、MDSCを介した治療への応用が期待される。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究計画としては、①SKGマウスの各組織由来MDSCの表現型・機能に差異があるか(組織特異的MDSCサブセット)の解明に加え、②肺由来MDSCの特異性の有無についての探索、③MDSCの増殖や機能に影響を与える薬剤の探索を挙げていた。①については、関節由来MDSCが破骨細胞分化能を持ち、in vitro、in vivo共に骨破壊に関与していることを証明し学術誌に掲載された(Front Immunol. 2024; 15: 1168323.)。②については、マイクロアレイの結果から間質性肺炎モデルマウスの肺由来MDSCは骨髄や脾臓由来MDSCと比較しある種のケモカイン発現が高いことが判明し、それらに対応するケモカインレセプターの発現が肺内のCD8陽性T細胞、樹状細胞、マクロファージで高いことを見出した。現在、そのレセプターを阻害する薬剤を用いて、間質性肺炎に対する効果を確認中である。③については、現在関節リウマチに用いられている5種類のJAK阻害剤間でMDSCの増殖や機能に与える影響が異なるか解析中である。また、in vitroでタンパク質翻訳後修飾を制御する薬剤が、MDSCへの分化ではなく、他の抑制性骨髄球系細胞への分化を促す可能性があることを見つけている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節由来MDSCの特異性については学術誌掲載まで進んだ。肺由来MDSCの特異性については、現在、in vitroおよびin vivoで実験中である。また、薬剤がMDSCに与える影響についても実験中であり、全体としておおよそ研究計画通りに進んでいるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究計画としては、引き続き、①肺由来MDSCの特異性の有無についてと治療ターゲットの探索、②MDSCの増殖や機能に影響を与える薬剤の探索を挙げている。①については、マイクロアレイで得られた肺由来MDSCに特異的な分子(ケモカインなど)について、フローサイトメトリー、ウエスタンブロットなどでその特徴を確認する。さらに、注目しているケモカインに対するレセプターを阻害する薬剤を用いて、間質性肺炎に対する効果を確認する予定である。②については、5種類のJAK阻害剤間でMDSCに与える影響が異なるか、JAK阻害剤とは異なる機序の薬剤(タンパク質翻訳後修飾を制御する薬剤など)がMDSCの増殖・分化や機能に与える影響とその機序について解析する。 これらの解析により、関節炎または炎症肺に対するMDSCや他の抑制性骨髄球系細胞を介した治療法への応用が期待される。
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