研究課題
若手研究
マウス卵巣癌細胞株であるID8にKRAS遺伝子を導入した結果、ID8-KRASにおいてマウス腹腔内でスフェロイド形成が促進されることを確認した。また、ID8-KRAS細胞で活性化していたRAS-RAF-MEK経路の阻害剤であるTrametinibを使用することでスフェロイド形成は抑制され腹膜播種形成は有意に阻害された。次に、スフェロイド形態で発現上昇したCXCL17のノックダウン細胞株shCXCL17-ID8-KRASを作成し、腹腔内環境を検討した。その結果、shCXCL17-ID8-KRAS株では、骨髄由来免疫抑制細胞の腹腔内への誘導が抑制され、有意な腹膜播種形成阻害を認めた。
本研究は、卵巣癌腹膜播種形成には腹腔内でのスフェロイド形成が重要であることを示し、また、KRAS変異がスフェロイドの安定化に寄与し、播種形成を促進することを見出した。スフェロイド形成を促進する遺伝子変異をターゲットとすることで、卵巣癌の播種進展を阻害できる可能性を示し、今後の卵巣癌治療方法の発展に寄与した。また、本研究は、がん遺伝子変異とその形態変化に伴うケモカインの発現変化が、腹腔内環境を調整し癌進展に関連している可能性を示した。この知見は、今後のがん遺伝子変異と腫瘍内微小環境を統合した治療戦略の開発に繋がる可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
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