研究課題
若手研究
既承認薬を別の疾患の新規治療薬として開発するドラッグリポジショニングの観点から、脂質異常症治療薬スタチンを卵巣癌治療に導入する基礎的研究を行った。スタチンの作用経路としてメバロン酸経路以外に、様々な生物学的プロセス、構成要素、分子機能が明らかとなった。スタチンのワールブルク効果に対する制御機構として、制御因子であるPTBP1の発現がスタチン投与群において有意に上昇していることを明らかとした。術中迅速診断にて卵巣癌と診断された症例において腫瘍を採取し、ヒト卵巣癌検体に対するスタチンの奏効を確認するHistoculture Drug Response Assayの系を樹立した。
スタチンの抗腫瘍効果における多面的効果がメバロン酸経路以外の作用経路からも誘導されることを明らかにすることができた。加えて、スタチンががん細胞に特徴的なワールブルグ効果を酸化的リン酸化に誘導しうるのかという学術的問いに対して制御機構の一端を明らかとすることができた。また、Histoculture Drug Response Assay(HDRA)の系を樹立できたことで、ヒト卵巣癌検体にスタチンが奏効するかを明らかとすることができる。さらに、HDRAにおける増殖抑制率の結果から、奏効症例と非奏効症例に分類し、両群間の臨床病理学的背景を比較検討し有意に差のある因子を抽出することに繋げられる。
すべて 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
European Journal of Cancer Prevention
巻: 28 号: 6 ページ: 562-567
10.1097/cej.0000000000000497
Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
巻: 45 号: 3 ページ: 542-548
10.1111/jog.13867
Journal of Gynecologic Oncology
巻: 30 号: 1
10.3802/jgo.2019.30.e10