研究課題/領域番号 |
18K17046
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長谷川 詩織 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40806866)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2018年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 歯肉増殖症 / 乳がん / アロマターゼ阻害薬 / 歯肉増殖 / 歯学 |
研究成果の概要 |
我々は、乳がん治療薬であるアロマターゼ阻害薬アナストロゾールを服用した70代の女性患者において、薬剤服用後に浮腫性の歯肉腫脹を認める一例を経験した。 本研究では、アナストロゾールが歯周組織構成細胞の1つである歯肉線維芽細胞内でのコラーゲン産生を亢進させ、同時にその代謝を阻害することが明らかとなった。また血管内皮細胞の細胞間接着因子の発現を減弱することでその血管透過性を亢進させ、浮腫性の歯肉増殖症を惹起する可能性が示された。さらに歯周病の原因であるP.g菌存在下では、アナストロゾールにより惹起される歯肉線維芽細胞の炎症反応が増強され、患者の口腔内環境が病態形成に関与している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々が経験した症例はアロマターゼ阻害薬服用後に生じた浮腫性の歯肉増殖としては他に例がない。本研究で示した結果は、アナストロゾールが浮腫性の歯肉腫脹を惹起させる作用を有しており、患者の宿主因子や口腔内環境と協調することで浮腫性歯肉増殖症といった臨床症状を呈する可能性があることを示唆している。 アロマターゼ阻害薬はさらなる使用頻度の増加に伴い、今後本症例と類似した歯肉増殖症が副作用として出現する患者も増加することが予測される。本研究はアナストロゾールが歯肉増殖を引き起こす可能性を医療関係者や患者に注意喚起し、服用時の口腔ケアの重要性を認識させることにより、口腔機能や審美性の維持向上に有益と考える。
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