研究成果の概要 |
本申請では,象牙質と接着性レジンセメントとの化学的接着に重要な樹脂含浸層の耐久性を向上させるために,タンニン酸による象牙質コラーゲンの強化を目的としている。タービンで切削した象牙質は,機械的に粉砕したものよりも熱変性温度が低く,タービンにて切削することでコラーゲンに変化が起こることが考えられる。しかし,これにタンニン酸を作用させると,熱変性温度は上昇し,象牙質コラーゲンが回復したことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歯科診療において,歯牙をタービンで切削することが日常的に行われている。しかし,その行為により,象牙質コラーゲンは本来の構造を破壊され,補綴物等が強固に接着できないことが考えられる。そのため,タンニン酸を作用させることにより,コラーゲンの耐久性の向上を図ることができれば,接着力が向上すると考え,熱変性温度を測定したところ,タービンで切削した象牙質よりも,タービンで切削後,タンニン酸を作用させた象牙質の方が熱変性温度が上昇し,コラーゲンの耐久性が上がったことが示唆された。このことは,将来,補綴物を口腔内に長期にわたり維持するために有効な研究結果である。
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