研究課題
若手研究
骨は全身を支えるだけでなく腸内細菌や免疫機能と連関して健康維持に重要な役割を担う器官であることが明らかになってきた。我々は腸内細菌による骨代謝・内軟骨性骨成長を制御する機構を、無菌状態『germ free (GF)』および菌保有『specific pathogen free (SPF)』マウスを使用し解析を行った。GF・SPFマウスの骨格解析や頭蓋骨由来骨芽細胞の解析より、常在細菌は破骨細胞、骨芽細胞を共に活性化し、骨代謝を活性化していること、母体GFおよびSPFマウスの胎児の肋軟骨から単離した軟骨細胞の解析より、母体の細菌層の存在が胎生期の内軟骨性骨形成を負に制御している可能性が考えられた。
我々の仮説は母体腸内細菌叢が胎生期から胎児骨格制御を行うというものであり、その分子メカニズムを解明することは歯科のみならず産科・小児科学的にも重要な意義をもつ。腸内細菌叢は臓器のひとつであり、これらにより我々の健康が制御されているといっても過言ではない。近年、腸内細菌叢の影響は一個人だけでなく、母親―胎児間といった垂直的な影響も注目され始めているが、垂直的な腸内細菌叢と骨との関係についての報告は、ほぼ皆無である。本研究により胎児の骨格成長発育に影響を与える分子機構を明らかにすることで、妊娠前の状態がいかに胎児に影響を与えるか新しい知見をを広く社会に広めることができ、国民の健康増進に寄与できる。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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