研究課題/領域番号 |
18K18290
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
長田 華子 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (20632285)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 縫製産業 / インド西ベンガル州 / バングラデシュ / 労働力の女性化 / 家内労働者 / フェミニスト経済学 / グローバル・サプライチェーン / グローバル・バリューチェーン / 西ベンガル州 / 家内労働 / ケア労働 / インド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、バングラデシュとインドの縫製(工場および家内)労働者を事例として、「労働力の女性化」概念の再定義、再構築を試みるものである。 今年度は、主に、これまでインドの西ベンガル州プルバ・メディニプル県コラガトで実施したフィールド調査の結果をまとめ、「大手下着メーカーの下請け生産と家内労働者―インド西ベンガル州コラガトの事例」(佐藤隆広編著、白桃書房、2023年10月刊行予定)を執筆した。コラガトでは、2005年前後から、州都コルカタの生産工場の一部移転に伴い、インド国内市場向けの低価格の下着生産地が形成されるようになった。コラガトの住民の多くは、工場移転に伴い、男女共に、下着生産に従事しているが、とりわけ乳幼児の世話をしなければならない若年女性の多くが、家内労働者として従事していることがフィールド調査を通じて明らかになった。論文では、フィールド調査で明らかにした①家内労働者は、どのような作業を担っているのか、②乳幼児の世話や家事とどのように折り合いをつけながら、家内労働の仕事をしているのか、③家内労働の賃金や待遇はどのようになっているのかを中心に考察した。これまで申請者は、バングラデシュやインドの西ベンガル州の縫製工場で働く女性を対象に調査をしてきたため、家内労働として働く女性の実態を調査し、その結果を論文としてまとめられたことは意義がある。 その他、本研究の成果として、フェミニスト経済学に関するテキスト(有斐閣、2023年9月刊行予定)を執筆していることも加えておきたい。フェミニスト経済学とは、フェミニズムの視点から経済学をとらえる学問であるが、「労働力の女性化」に関する議論は、その中の海外直接投資や貿易に関する経済事象と関連するからである。本年度はこの執筆にも精力的に関わり、その点でも意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延、産休・育休といったライフイベントも重なり、新たにフィールド調査をすることが出来ず、研究計画を見直す必要性に迫られた。しかし、研究実績の概要に記したように、これまでに実施したフィールド調査結果を踏まえて、論文を執筆したこと、またフェミニスト経済学のテキストの執筆に精力的に関わった点を踏まえて、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の最終年度となり、本研究のまとめを行いたいと考えている。具体的には、以下の2点である。第1に、これまでバングラデシュ、インド西ベンガル州で実施したフィールド調査にもとづいて、「労働力の女性化」概念の再定義、再構築を試みる。両国の実態に即せば、「労働力の女性化」とはどのような現象として指摘することが出来るのか、他の諸地域にはない特徴とはどこにあるのか、考察したい。第2に、「労働力の女性化」が、当事者である両国の女性たちにもたらしたものは何であったのかを、これまで実施したフィールド調査に加えて、文献や新聞、その他、両国で活動するNGOやNPO、女性団体などのウェブサイトを調査し、考察したい。
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