研究課題/領域番号 |
18K18348
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 久 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (20755467)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | シオマネキ / 空間認知 / ナビゲーション / マルチモーダル情報処理 / 視覚 / 経路統合 / 逃避行動 / 比較認知 / 社会性 / マルチモダリティ / 共進化 |
研究成果の概要 |
動物の空間認知における多感覚相互作用モデルとして、競合する各感覚情報の信頼度の重み付けが注目されている。しかし多くの動物の生活では時間的制約があり、その中で情報間に齟齬がある場合、経験的な重み付けは困難ではないか。本研究では、シオマネキというカニの逃避行動を研究対象とし、通常一致する巣穴の記憶情報と視覚の間に齟齬を提示する実験を行なった。結果として、提案したモデル(記憶に従いながら、視覚情報を絶えず探索・評価し、帰巣終盤でのみ利用)が従来仮説よりも支持された。この結果は、動物が想定外な状況にあるとき、経験的裏打ちを待たず、行為の最中にリアルタイムで情報を探索し意思決定することを示唆する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、動物が想定外な状況(ここでは迅速な意思決定が必要で、かつ通常一致している感覚情報間に矛盾がある状況)にあるとき、各情報の信頼度の蓄積を待つことなく、特定の感覚情報から規定する運動プランに沿ながら、環境から与えられる不意の変化に即時対応し、運動をシフト可能な適応的戦略を取ることが示唆された。この意味で、本研究はスポーツなどにおける習慣的な素早い一連の身体動作において、いかに環境変化に対応した突然の運動遷移が可能かという議論に比較認知的モデルを与える。さらに将来的には、視覚により外乱を補う能力が、経路統合を主に実行する能力の中に埋め込まれた自律運動ロボットのデザインへの応用が見込める。
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