研究課題
若手研究
固形がん深部に存在する休眠状態のがん細胞は、増殖性の高いがん細胞を標的とする既存薬に対して抵抗性を示すため、これらに対し有効な抗がん剤の開発が喫緊の課題となっている。本研究では、がん細胞が正常細胞に比べ負に帯電していることから、負電荷の細胞膜を破壊するhost-defense peptides(HDP)を模倣したポリマーを合成し、その機能を検討したところ、がん細胞膜特異的に膜破壊を誘導し、抗がん活性を示すことを明らかとした。さらに、この膜破壊機構は細胞の増殖状態に依存しないため、従来の抗がん薬が効かないドーマントながん細胞に対しても効果を示し、新しい抗がん剤としての利用が期待される。
本研究成果により、生体のペプチドを模倣することより、「固形がんの深部まで到達可能」で、固形がん内の「休眠状態(ドーマント)のがんにも有効」な新しい抗がん性ポリマーの設計指針を確立した。この抗がん性ポリマーは、従来の抗がん薬とは異なり、がん細胞膜にアタックする機構を利用した、ポリマーならではの機能を利用した次世代の抗がん性マテリアルとして高いポテンシャルが期待できる。これにより、これまで治療の難しかった固形がん中のドーマントながん細胞に対する、新しいアプローチ法を提案することができた。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
Scientific Reports
巻: 9 号: 1 ページ: 1096-1096
10.1038/s41598-018-36608-5