研究課題/領域番号 |
18K18458
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
超高齢社会研究
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石原 明子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (50535739)
|
研究分担者 |
石原 哲郎 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60731437)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 認知症 / 紛争解決 / 非対称コンフリクト / チェンジマネジメント / 和解 / 高齢社会 / 葛藤 / 当事者 / 認知症と共に生きる / 人間関係の葛藤 / 紛争解決学 / 文化的暴力 / 人権 / 高齢化社会 / コンフリクト / オレンジドア / パーソンセンタードケア / コミュニケーション / 当時者 |
研究実績の概要 |
認知症との共生社会を目指し、紛争解決学の知見が現場や政策立案課題にどのように貢献し得るかについて、認知症の専門家(医学、介護、当事者。政策研究)との、検討を行った。紛争解決学の視点から認知症をめぐる葛藤の分析を行うときに、1)認知症と診断を受けた人と、受けていない人(いわゆる健常者)の間での非対称コンフリクトの性質があり、現在の認知症の当事者運動は、アダムカールも出るの「啓発」「教育」のステップとして意味が大きいこと、2)認知症という状態への変化に本人と周りが慣れていく、そして社会もそれに慣れていくプロセスが、認知症1千万人時代の課題であり、その意味で、紛争解決とはチェンジマネジメントであるという視点が、その変化を支える可能性をもつことが、明らかになった。 また、認知症に関する市民理解の促進に関する啓もう書を執筆している医師への聞き取りを行った。 地域包括ケアのコンセプトの中で、認知症初期集中ケアの体制構築をしてきた石巻市の取り組みについて、資料収集と整理、インタヴュー調査、地域包括ケア関係者とのワークショップを実施した。 これらから、来年度以降のプロジェクトとして、認知症の専門家と紛争解決の専門家の共同研究会を継続的に開催していくことが協議された。 また、高齢期と紛争解決の接点では、ACPをめぐる人生会議と、本研究班の接点も検討できることがわかった。人生会議をケアプランのための会議と協議に捉えるのみならず、人生の終盤の和解を支えるという視点で、高齢者当事者と周りの人のQOLの向上に貢献し得ることが予測される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、高齢者施設や医療機関での参与観察研究やインタヴュー調査を主に行う計画で開始されたが、新型コロナウィルスの流行により、感染予防のために、高齢者施設や医療機関での研究ができなくなり、研究がストップした。また、分担研究者の異動により分断研究者は研究協力者となったが、コロナと異動の関係で、予定していた共同研究が困難になった。また、別の研究協力者が2022年度に病気で急逝し、共同研究をこれまでと同じ形ではできなくなった。以上により、研究の計画が大幅に遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究班は、研究班開始当初の分担研究者が異動のために分担研究を担うことができなくなり、紛争解決学の専門家である研究代表者のみとなったため、認知症ケアの専門的知見からの研究協力者の補強が必要となった。 今年度に新しく得られた研究協力者とのネットワークにより、今後は、紛争解決の研究者と実践者、認知症ケアの研究者と実践者(当事者、医療者、介護・福祉者・政策立案者等)との合同研究会を連続的に開催し、その接点について研究を行っていく。特に、紛争解決学非対称コンフリクトとしての認知症をめぐる葛藤にどのように貢献をすることができ、チェンジマネジメントに貢献できるかという視点で研究を継続する。 また研究フィールドについても、当初は、分担研究者と研究協力者の所属機関があった宮城県をフィールドにして開始されたが、仙台市を拠点としていた分担研究者の異動、石巻市を拠点としていた研究協力者の死亡(病気)により、研究フィールドの変更も大きく迫られることになった。宮城県内の他の研究協力者との研究継続の可能性を検討すると同時に、新しい地域での研究再開も検討していく。 また、当初予定していた高齢者施設や医療機関での参与観察やインタヴュー調査という手法は、新型コロナウィルスが五類に移行したのちも、高齢者施設での感染予防の重要性から予定していた手法が同じように取ることが難しく、これについても、検討を進めていく。
|