研究課題/領域番号 |
18K18545
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
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研究分担者 |
西江 清高 南山大学, 人文学部, 教授 (10319288)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2018年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 中国南部 / 先史時代 / 交通路 / ネットワーク / GIS / ABS / シミュレーション / 地域形成 / 地域ネットワーク / 集団の形成過程 / 考古学 / 中国南方 / 中国南部諸地 / 新石器時代 / 衛星画像 / 西南中国 / 交通ネットワーク / 集団形成 / 地域性 |
研究実績の概要 |
引き続き『中国文物地図集』の入力を進め、雲南省、広西省(80%終了)、広東省、湖南省、福建省、浙江省をひとつながりの中国南部地域として俯瞰する情報が整った。また、湖北省を完成させた事で、これまでに入力した河南省、山東省とつなぎ、中原地域との内陸部におけるつながりについても分析が可能となった。 上記の遺跡分布データをもとに、広域のスケールについて最適経路推定とABSを融合した分析を試行した。またこの試行を通し、分布パターンと接続性から、地域間をつなぐ経路の適性を評価し、地域間のつながりを分析する際のパラメータとする方法を検討した。これらの成果について国際学会で報告を行った。一方、より自由度の高いABS単体による分析が必要となる、小地域内の動態については、移動のアルゴリズムに課題が残り、今年度中の解決には至らなかった。 前年度試みた、TINからみた遺跡間の結節度変化から地域の動態を捉えるアプローチにより、南部全域の長期時系列のつながりの変化見通しを得たが、社会変化との対応についての理解は不十分であった。そこで、結節度の変化パターンと社会動態の対応について、より具体的に確認するため、南部地域に比べ多くの考古学的な研究蓄積がある山東省について、新石器時代から秦漢時代にかけての長期の遺跡間のつながりを同手法で分析した。得られた結果を、考古学的な理解と対比しつつ地域形成過程の考察を行い、交通路の結節密度分布の変化が社会階層と比較的よい対応を示すこと、環境変動による生業への影響や居住変化等が影響した可能性があることを確認することができた。この結果については日本中国考古学会において報告を行った。この結果をあてはめることで、南部地域の分析結果を参照するための大枠を示すことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象地域である中国南部の遺跡分布についての情報は概ね完成し、地域間のつながりを広域で俯瞰することが可能となった。どちらかといえば演繹的となるABSシミュレーション結果と対比するための基本情報の整備が概ね完了した。また、山東省の事例研究から、南部地域の地域性形成過程の大枠についても、同様のTINによる遺跡間ネットワークの分析から示すことができる事を確認できた。また、この確認の過程で、環境変動による影響がネットワークにも大きく影響する可能性を指摘された。シミュレーションにおいてこの点も考慮する必要があるかもしれない。 一方で、シミュレーションについては最適経路分析との融合による地域間レベルの分析方法についてはある程度目途がついたものの、地域内の、より細かいスケールにおけるABSの移動アルゴリズムについては課題が残された。改めて、近年のABSシミュレーション手法についての文献を収集し、手法改良のための情報確認を急いでいる。移動アルゴリズムの未解決により、スケール間の融合という点で遅れはあるものの代替手法も含め、各空間スケールにおける分析は試行できていること、基盤データがほぼ完成した事から、おおむね順調に進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度ということで、これまで実施してきた研究を包括し、中国南部地域の地域性形成過程の分析を行いたい。具体的には、TINネットワークにより分析から長期時系列における地域変化の大枠を把握し、最適経路シミュレーションとABSの融合的手法により地域間のアクセシビリティと情報交換と情報蓄積傾向についての分析結果と比較を行う。さらに、より詳細な地域的まとまりについては、ABS単体の情報交換シミュレーションを実施する。前半は、ABS単体のシミュレーションのための移動アルゴリズムの改善を優先するが、これが困難である場合は、より単純な代替アルゴリズムによる分析を検討する。以上の成果をまとめ、今年度の後半ないしは末に学会誌へ投稿を行いたい。また、南部地域の古環境・環境変動についても文献をまとめ、交通ネットワークへの影響の有無についても検討する。ただし、これらの影響を分析手法へ取り込む方法については将来の課題とする。
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