研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究は、日本のstatehoodの形成・変動と崩壊・再編成という視点から、日本の(国内・国際)公法学のさまざまな公共秩序構想を、とりわけ東(北・南)アジアの文脈を念頭において批判的に再検討しようとするものであった。そのため、①既存のとりわけ20世紀における(国際・国内)公法学理論の再検討、②敗戦前後の国際秩序構想の検討、③新たな「現代公法学」の構想を立てる、という柱で研究をすすめた。研究期間全体では、まず、俯瞰的な視座を得るため、近現代日本の領域・国籍変動について資料収集と研究状況の把握につとめた。その①では、広域秩序論と大東亜(共栄圏)国際法の法理論とその現代的意義と問題性について、研究を行い、一部は口頭発表した。②においては、占領管理体制と東京裁判に対する法学者のインパクトについて研究をすすめた。③においては、これまでの自らのペーパーのなかで、「現代公法学」構想につながるものと考えるものをまとめた書籍を刊行した。また、具体的なstatehood(の変動)との関係を意識するためには、より歴史的な観点を強調する必要があると考えるに至り、「現代公法史研究(仮)」という定期誌の構想と刊行計画を練っている。最終年度においては、現代日本のstatehoodを規定する重要な要素である入国管理体制と「外国人の権利」論に焦点をあわせ、いくつかの論文を刊行し、口頭発表を行った。また、日本憲法秩序における国際法とりわけ人権条約の取扱いについて、その経路依存性を意識しつつ、批判的に考察した口頭発表を行った。また、日本における戦後公法学の形成を、京都学派国際法学、とくに田畑茂二郎の観点から整理した口頭発表を行った。
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