研究課題/領域番号 |
18K18781
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 (2022) 東京大学 (2018-2021) |
研究代表者 |
日比谷 紀之 東京海洋大学, その他部局等, 博士研究員 (80192714)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | メガ津波 / 民間航空機 / 南海トラフ / 電波高度計 / 高精度津波予報システム |
研究実績の概要 |
我が国は世界でも有数の地震発生数の多い国であるが、地震に伴って引き起こされる津波に関しては高精度な予測が行われているとは言い難い。現行の津波予測システムは、津波を引き起こす地殻変動の特定を前提としているため、震源域が広域にわたる巨大地震の場合、津波の発生原因となった地殻変動を即座に特定することが難しく、それによって引き起こされるメガ津波の予報精度は極めて低くなってしまう。近未来に予想される巨大地震の発生に伴って発生するメガ津波に備えるためにも、震源モデルに頼らない迅速かつ高精度な津波予報システムの開発は必要不可欠である。 本研究は、南海トラフ域など近未来に予想されるメガ津波の発生海域上を広くカバーしながら昼夜を問わず飛行している民間航空機による津波初期波形の検出と、その情報を組み込んだ超高速計算機による津波伝播計算を組み合わせた「迅速かつ高精度な津波予報システム」の開発を目指すものである。 本年度は、特に「津波の発生時にその発生海域をカバーしている航空機数」や「航空機による津波観測の継続時間」が津波の予測精度に及ぼす影響について調べた。南海トラフの巨大津波を対象に、津波発生海域内での複数の航空機による仮想的な観測データを取得した後、この仮想観測データに対してインバージョン解析を行うことで津波波源の推定を行った。その結果、発生海域に20機以上の航空機が存在する6-22時の時間帯では、既存の固定観測点における観測データを用いるよりも高精度な津波予測が可能であり、特に11-17時では60機以上の航空機が存在するため、5分間の観測データでも高精度な津波予測が可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまで実施してきた、民間航空機により観測された津波初期波形に基づく数値実験データが莫大であることや、新型コロナウイルス感染症の影響で解析担当者の確保が難しかったことも影響し、得られたデータの解析に予想以上の時間を要してしまったため進捗に遅れがでている。 また、2022年1月のトンガ沖の海底火山噴火に伴って日本国内で発生した気象津波の発生メカニズムの解明にも集中して取り組む必要が生じてしまったことも、上記研究の進捗の遅れの一因となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在までの解析結果の取りまとめを行うとともに、民間航空機を利用した正確かつ迅速な津波数値予報システムの構築の可能性を検討していく。また、トンガ沖の海底火山噴火による津波や「あびき」など、気象津波の予報の可能性の検討も視野に入れ、航空機からの海洋波情報の組み合わせの最適化をはじめとする研究を進行させていく予定である。
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