研究課題
挑戦的研究(萌芽)
収差補正環状暗視野走査透過電子顕微鏡法によりNi4Mo合金の短範囲規則(Short-Range Order: SRO)状態の局所構造観察を行った。本合金のSRO構造は、安定・準安定規則相に共通のLong-Range Order: LRO)構造要素と、それら複数種の規則相の副単位胞が準周期的かつ異方的に配置した構造要素が三次元的に組み合わされたドメイン構造と定義された。このうち、後者の複数種副単位胞の準周期配置の方は、成長の途中でLRO構造の副単位胞だけがLROドメインへと選択成長する段階へと移る。これがSRO-LRO転移と解釈された。最後に、逆位相境界エネルギーに基づくSROの定義を提案した。
短範囲規則(SRO)構造は、合金をはじめとする種々の結晶化合物で観察され、特にハイエントロピー合金や鉄鋼材料などでは力学特性に顕著な影響を及ぼす構造因子として今も研究がなされている。従来の規則ドメインサイズや原子相関距離に基づくSROの定義に比べると、本研究から導いた逆位相境界(APB)エネルギーに基づくSROの定義は、局所的な原子配列やAPB、すなわち結晶欠陥あるいは部分規則状態の構造的特徴を示すものである。この定義は、例えば、転位とSROの相互作用や逆位相ドメイン組織の生成過程など、材料物性や組織制御との関係を考える上で有効なSROの知見になるものと考えられる。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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