研究課題
挑戦的研究(萌芽)
植物は病原菌特有の分子パターン(PAMPs)を認識し、PAMP誘導免疫を活性化する。PAMP誘導免疫メカニズムは共通性が高いと捉えられてきたが、最近の研究により、明確な多様性があることが示唆された。本研究では、この多様性の問題に迫るため、シロイヌナズナnsl1変異体を利用した。本変異体では二つのPAMP(flg22とnlp24)での反応の違いを壊死斑形成として可視化できる利点があり、そのサプレッサー変異体の同定、解析をおこなった。その結果、エチレン経路がflg22とnlp24が活性化するPAMP誘導免疫の相違に関わることを明らかにし、さらに本問題の解明に利用できる多数の変異体の同定に成功した。
植物における中格的免疫システムであるPAMP誘導免疫については、これまではPAMP認識後のシグナル経路や活性化する抗菌反応は共通であると捉えられてきたが、近年になり、その多様性が浮かび上がってきた。本研究では、本多様性の問題に迫るため、シロイヌナズナ変異体を利用した研究を実施し、その結果、植物ホルモンであるエチレン経路がPAMP誘導免疫の多様性の一因であることを明らかにし、さらに今後の研究推進に必要な多数のシロイヌナズナ変異体の同定に成功した。今後、PAMP誘導免疫の多様性の分子的背景を明らかにできれば、それぞれの病原体に特化した抵抗性誘導剤開発など、耐病性技術の向上に貢献できると期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
New Phytologist
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120006547395