研究課題/領域番号 |
18K19362
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古賀 章彦 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (80192574)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2018年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 眼 / 視細胞 / 夜行性 / ゲノム / ヘテロクロマチン / 進化 / 脊椎動物 |
研究成果の概要 |
夜行性の哺乳類の多くで、視細胞の核の中央部にヘテロクロマチンが凝集し、これがレンズとして機能して夜間視力の増強をもたらす。このような核の状態を、ここでは夜行性型とよぶ。夜行性型の視細胞は哺乳類でしかみつかっていないため、その起源は哺乳類と爬虫類が分岐した後と、広く考えられている。これに対し、暗環境への適応という点を考慮して、脊椎動物で眼ができ始めたときにすでに夜行性型であったとの仮説を立てた。この仮説が正しいならば、哺乳類以外でも夜行性型がみつかることが予想される。爬虫類、両生類、魚類の計8種で視細胞の状況を調べ、そのうちの魚類1種で、夜行性型に近い状態を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脊椎動物の眼では、光は視細胞の光受容部位に達する前に、視神経の層を通過し、さらに視細胞の核の部分を通過する。その間に情報の減衰や散逸が起こることが想像され、不合理な構造であるといえる。いったん成立した発生過程を変えられないための制約と、考えられる。しかし、夜行性型の核を現出するためには、この構造は必要である。この点を考慮すると、脊椎動物が眼を獲得した時点ではこの構造はむしろ合理的であったとの仮説が、成り立つ。得られた結果は、この仮説を積極的に支持しないとはいえ、否定するものではない。仮説をさらに追求するための足掛かりが得られたといえる。外洋の深海魚を調べることが効率的であるとの示唆である。
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