研究課題
挑戦的研究(萌芽)
自己寛容機構にも拘わらず、自己免疫疾患において自己反応性B細胞が抗体産生に至る理由は不明である。最近、自己反応性胚中心B細胞が他のB細胞の自己寛容を破る、脱寛容の伝播というべき現象が見出された。そのメカニズムを解明するべく、IgA腎症モデルであるgddYマウスを用いて研究した。このマウスは加齢とともに血中に腎糸球体タンパクに結合するIgA自己抗体が産生され、それが認識するタンパクの種類が次第に増加していくことを見出した。また、腎臓には体細胞超突然変異を有したIgA陽性形質芽細胞が蓄積し、これは抗生物質投与により消失した。常在細菌からの持続的刺激が脱寛容の伝播を引き起こす可能性を示した。
SLE等の全身性自己免疫疾患では、血清自己抗体の種類が次第に拡大していく現象(epitope spreading)が知られている。これは、抗原の異なる自己反応性B細胞が次々に寛容を脱して活性化するものと解釈され、上述の脱寛容伝播という現象はこれをうまく説明できる。この脱寛容伝播現象のメカニズムの解明は自己免疫という免疫学的の中心課題の進展に繋がり、また、自己免疫疾患の進展を抑える治療法の開発にも繋がると思われる。
すべて 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件)
International Immunology
巻: - 号: 6 ページ: 385-395
10.1093/intimm/dxaa009
The Journal of Immunology
巻: 203 号: 12 ページ: 3268-3281
10.4049/jimmunol.1900069
eLife
巻: 8
10.7554/elife.44245
BIO-PROTOCOL
巻: 9 号: 4 ページ: 3163-3163
10.21769/bioprotoc.3163
Nature Communications
巻: 10 号: 1 ページ: 22-22
10.1038/s41467-018-07884-6
ImmunoHorizens
巻: 2 号: 11 ページ: 349-362
10.4049/immunohorizons.1800069
Nature Immunology
巻: 19 号: 9 ページ: 1025-1034
10.1038/s41590-018-0177-0
Journal of Experimental Medicine
巻: 215 号: 8 ページ: 2035-2053
10.1084/jem.20180977