ヒトiPS細胞からの腎および肝EPO産生細胞の分化誘導とその性状比較解析

• 研究課題/領域番号: 18K19542
• 研究種目: 挑戦的研究(萌芽)
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 長船 健二 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (80502947)
• 研究期間 (年度): 2018-06-29 – 2020-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2019年度)
• 配分額: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円); 2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円); 2018年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
• キーワード: iPS細胞 / エリスロポエチン / 腎EPO産生細胞 / 肝EPO産生細胞 / 分化誘導 / 腎性貧血

研究成果の概要

骨髄における赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチン（EPO）は、胎生期には肝臓、成体では主に腎臓で産生される。本研究では、ヒトiPS細胞からEPOを産生する腎細胞の作製を目的とした。そして、申請者らが既に確立している方法でヒトiPS細胞から分化誘導される2種類の腎臓のもとになる前駆細胞であるネフロン前駆細胞と尿管芽を組み合わせて作製した腎組織内でEPO産生細胞の形成を確認した。今後、その腎EPO産生細胞を腎組織から単離する方法を開発し、申請者らが既に確立している方法でヒトiPS細胞から作製される肝EPO産生細胞との性状の比較解析を行う予定である。

研究成果の学術的意義や社会的意義

我が国において末期慢性腎不全にて透析療法を受けている患者数は約34万人、透析医療費も高額となり、腎疾患は医学的および医療経済的にも大きな問題を生じている。腎不全の主要な合併症である腎性貧血に対して遺伝子組換えヒトエリスロポエチン (EPO) 製剤が使用されており、顕著な治療効果をあげている。しかし、貧血の生理的なコントロールは依然として困難であり、腎性貧血に対する治療の改善が必要とされている。本研究では、ヒトiPS細胞から成体腎臓内に存在するEPO産生細胞の作製を行った。今後、本研究の成果が腎性貧血の問題の解決に貢献することが期待される。

研究成果

• [雑誌論文] 腎再生の現状と今後 (2020)
  • 著者名/発表者名: 清水達也、長船健二
  • 雑誌名: 腎疾患・透析 最新の治療2020-2022 巻: - ページ: 32-36
• [雑誌論文] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発 (2020)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 雑誌名: ケミカルエンジニヤリング 巻: 65(1) ページ: 1-7
  • NAID: 130008127608
• [雑誌論文] CD140b and CD73 are markers for human induced pluripotent stem cell‐derived erythropoietin‐producing cells (2019)
  • 著者名/発表者名: Nishimoto S, Mizuno T, Naagamatsu T. et al.
  • 雑誌名: FEBS Open Bio 巻: 10 号: 3 ページ: 427-433
  • DOI: 10.1002/2211-5463.12800
  • NAID: 120006879490
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] iPS細胞を用いた臨床応用と実用化の現状と展望 (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 雑誌名: Bio Clinica 巻: 34(13) ページ: 4-5
• [雑誌論文] iPS細胞を用いた腎疾患と糖尿病に対する再生医療の開発に向けて (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 雑誌名: 亜鉛栄養治療 巻: 10(1) ページ: 4-10
  • NAID: 130007716036
• [雑誌論文] iPS細胞を用いた腎疾患と糖尿病に対する再生医療の開発に向けて (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 雑誌名: Organ Biology 巻: 26(2) ページ: 11-21
  • NAID: 130007716036
• [雑誌論文] ヒト多能性幹細胞を利用した腎再生医療の現状と今後の展開 (2019)
  • 著者名/発表者名: 兩坂誠、長船健二
  • 雑誌名: 医学と薬学 巻: 76(7) ページ: 987-993
• [雑誌論文] iPS細胞：総論 (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 雑誌名: 腎と透析 巻: 86 ページ: 268-271
• [雑誌論文] 13節 腎臓における治療と再生医療への課題（仮） (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船 健二
  • 雑誌名: “2020年”以降のイノベーション時代に勝ち残る 再生医療の事業化と共同開発戦略 （仮） 巻: -
• [雑誌論文] 慢性腎臓病に対する再生医療開発に向けたヒトiPS細胞から機能的な腎細胞と腎組織の作製 (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船 健二
  • 雑誌名: 内分泌・糖尿病・代謝内科 巻: 47 ページ: 12-17
• [雑誌論文] iPS細胞を用いた再生医療の現状と展望 (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 雑誌名: 透析療法最前線 巻: - ページ: 53-61
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発 (2020)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第一三共(株)/アストラゼネカ(株)共催Web講演 Next TV Symposium
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発 (2020)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 近未来透析を考える会2020
  • 招待講演
• [学会発表] Development of iPSC technology-based regenerative therapy for kidney diseases and diabetes (2020)
  • 著者名/発表者名: Osafune K
  • 学会等名: Frontier iPS and Stem Cell Therapeutic Summit 2020
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた再生医療～現状と展望～ (2020)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 一般社団法人学士会第38回関西茶話会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療と新規治療薬の開発に向けて (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 小野薬品工業研究所内講演
  • 招待講演
• [学会発表] Generation of functional human kidney organoids from metanephric nephron progenitors and ureteric bud cells separately differentiated from human iPS cells (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsujimoto H, Araoka T, Ryosaka M, Mae SI, Osafune K
  • 学会等名: CiRA 2019 International Symposium
  • 国際学会
• [学会発表] Towards iPS cell technology-based regenerative therapy for kidney diseases and diabetes (2019)
  • 著者名/発表者名: Osafune K
  • 学会等名: 2019 Zhangjiang International Summit on Cell Therapy
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Generation of functional human kidney tissues from metanephric nephron progenitors and ureteric bud cells separately differentiated from human iPS cells (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsujimoto H, Araoka T, Ryosaka M, Mae SI, Osafune K
  • 学会等名: ASN Kidney Week 2019
  • 国際学会
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発 (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第49回日本腎臓学会西部学術大会
  • 招待講演
• [学会発表] Towards iPSC technology-based regenerative therapy for kidney diseases and diabetes (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 熊本大学リエゾンラボ研究会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎臓再生研究について (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 熊本大学腎臓内科医局講演
  • 招待講演
• [学会発表] ヒトiPS細胞を用いた中腎/後腎ネフロン前駆細胞の作り分けと尿管芽細胞との共培養による機能的な腎オルガノイドの作製 (2019)
  • 著者名/発表者名: 辻本啓、笠原朋子、末田伸一、荒岡利和、兩坂誠、前伸一、長船健二
  • 学会等名: 第10回分子腎臓フォーラム
  • 招待講演
• [学会発表] ヒトiPS細胞を用いた分化誘導実験における再現性について (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 島津製作所COTO LABO総会
  • 招待講演
• [学会発表] ヒトiPS細胞から腎臓、肝臓、膵β細胞の再生と移植利用、新薬利用の開発研究応用 (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: iPSC研究協議会
  • 招待講演
• [学会発表] 腎臓、膵臓、肝臓のiPS細胞研究について (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第19回日本亜鉛栄養治療研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 再生医療で腎臓病患者がゼロになる日を目指して (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 全国腎臓病協議会全国大会
  • 招待講演
• [学会発表] 臨床応用に向けたヒトiPS細胞から腎細胞と腎組織の作製 (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第62回日本腎臓学会学術総会
  • 招待講演
• [学会発表] Generation of human kidney tissues from metanephric nephron progenitors and ureteric bud cells separately differentiated from human iPS cells (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsujimoto H, Kasahara T, Sueta SI, Ryosaka M, Mae SI, Araoka T and Osafune K
  • 学会等名: The 62nd Annual Meeting of the Japanese Society of Nephrology
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患と糖尿病に対する再生医療の開発に向けて (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第49回京都腎臓免疫研究会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎・膵・肝疾患に対する再生医療開発と創薬に向けて (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学セミナー
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞研究最前線～腎臓再生と腎疾患治療への応用～ (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第4回苫小牧多発性嚢胞腎研究会～よくわかる！iPS細胞と再生医療～
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患と糖尿病に対する再生医療の開発に向けて (2019)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第18回伏見CKD医療連携の会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発に向けて (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第27回腎とエリスロポエチン研究会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患と糖尿病に対する再生医療の開発に向けて (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第45回日本臓器保存生物医学会学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患と糖尿病に対する再生医療の開発に向けて (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第21回在宅血液透析研究会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発に向けて (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第48回日本腎臓学会東部学術大会
  • 招待講演
• [学会発表] iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の開発に向けて (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船健二
  • 学会等名: 第26回和歌山臓器移植研究会
  • 招待講演
• [学会発表] Differentiation of human iPSCs into kidney and pancreatic lineages towards regenerative therapy (2018)
  • 著者名/発表者名: Kenji Osafune
  • 学会等名: Tissue Engineering and Regenerative Medicine International Society World Congress 2018
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Human pluripotent stem cell-derived erythropoietin-producing cells improve renal anemia in mice (2018)
  • 著者名/発表者名: Hirofumi Hitomi, Daisuke Nakano, Kenji Osafune, Akira Nishiyama.
  • 学会等名: The 18th World Congress of Basic and Clinical Pharmacology
  • 国際学会
• [学会発表] iPS cells and renal pharmacological target (2018)
  • 著者名/発表者名: Kenji Osafune
  • 学会等名: The 18th World Congress of Basic and Clinical Pharmacology
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Human pluripotent stem cell-derived erythropoietin-producing cells improve renal anemia in mice (2018)
  • 著者名/発表者名: Hirofumi Hitomi1,2,3, Tomoko Kasahara1, Naoko Katagiri1, Azusa Hoshina1, Shin-Ichi Mae1, Maki Kotaka1, Takafumi Toyohara1, Asadur Rahman2, Daisuke Nakano2, Akira Niwa3, Megumu K. Saito3, Tatsutoshi Nakahata3, Akira Nishiyama2, Kenji Osafune1
  • 学会等名: ISSCR 2018 Annual Meeting
  • 国際学会
• [学会発表] A single differentiation system maps multiple human kidney lineages from pluripotent stem cells (2018)
  • 著者名/発表者名: Tomoko Kasahara, Shin-ichi Sueta, Hiraku Tsujimoto, Toshikazu Araoka, Shin-ichi Mae, Taiki Nakajima, Natsumi Okamoto, Makoto Nasu, Makoto Ikeya, Kenji Osafune.
  • 学会等名: ISSCR 2018 Annual Meeting
  • 国際学会
• [学会発表] 腎疾患に対する再生医療開発に向けたヒトiPS細胞から腎細胞と腎組織の作製 (2018)
  • 著者名/発表者名: 長船 健二
  • 学会等名: 第61回日本腎臓学会学術総会
• [備考] 研究活動
  • URL: http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/osafune_summary.html
• [備考] 京都大学大学院医学研究科応用再生医学研究 分野紹介
  • URL: http://www.med.kyoto-u.ac.jp/organization-staff/research/doctoral_course/r-179/