研究課題
挑戦的研究(萌芽)
申請者らは、ポリコーム抑制性複合体1(PRC1) 構成因子であるBmi1 を骨髄ニッチの代表である傍血管間葉系ストローマ細胞特異的に欠損させたところ、加齢とともに骨髄の脂肪化が著明に進行し、造血幹細胞・前駆細胞が有意に減少すること、これに伴い髄外造血が亢進することを見出した。以上のデータから、Bmi1が骨髄ストローマ細胞の脂肪分化を抑制することにより、造血幹細胞ニッチの恒常性を保つことが明らかとなった。このモデルは加齢に伴うヒト骨髄の変化に類似し、加齢脂肪化骨髄における造血幹細胞クローンの拡大と加齢関連骨髄球系腫瘍発症に至る過程の解析に有用と考えられる。
ヒト骨髄ニッチは加齢とともに脂肪化が進行し、造血幹細胞の支持機能が低下する。その結果、造血幹細胞は減少し、ドライバー遺伝子変異を獲得した異常クローンの増殖優位性が促進される。すなわち、加齢に伴うニッチ変化が、造血幹細胞を発症母地とする骨髄球系腫瘍の発症を促進する原因の一つである可能性がある。本マウスモデルは、加齢ヒト骨髄モデルとして有用である。ヒトで認められる加齢脂肪化骨髄における造血幹細胞クローンの拡大と加齢関連骨髄球系腫瘍発症に至る過程の解析に有用と考えられ、その成果は、加齢ニッチ因子を標的とした、加齢関連骨髄球系腫瘍の発症の予防法の開発につながることが期待される。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 備考 (2件)
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https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/molmed/
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