研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、三種の酸素同位体の相対組成を指標に使った新しいin-vitro(培養器内での)脱窒速度定量手法の開発に挑戦した。本研究で開発した手法は、培養容器を大気から遮断する必要がなくなるので、水―堆積物間の物質収支を観測するためのフラックスチャンバー、表層堆積物および直上海水を採取するためのコアサンプラー、沈降粒子を採取するセジメントトラップ、浮遊性粒子類を採取するプランクトンネットなどの既存のサンプラーを、そのまま培養系として活用できるようになった。つまり、現場の酸化還元環境変化を最小限に抑えながら、高確度の脱窒速度を簡便な操作で求めることができるようになった。
近代以降の人間活動の拡大に伴って、地球表層環境中の固定態窒素(一般の植物が利用できる窒素)量は過剰となりつつあり、富栄養化や生態系の攪乱など様々な環境問題を引き起こしている。この固定態窒素は、海底堆積物や沈降粒子、貧酸素水塊などの嫌気的環境下で、脱窒によって除去されることから、脱窒速度の値やその経年変化は、環境問題の対策を考える上で重要な数字となる。本手法を用いて求められた確度の高い脱窒速度データが蓄積されることで、正確な固定態窒素の収支やその経年変化を様々な時空間スケールで見積もれるようになるので、地球環境研究一般の発展に大いに貢献する。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 3件)
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