研究課題/領域番号 |
18KK0007
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯田 祐子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80278803)
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研究分担者 |
星野 幸代 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00303587)
中谷 いずみ 二松學舍大學, 文学部, 教授 (10366544)
笹尾 佳代 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (60567551)
小泉 京美 武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 講師 (70779206)
尹 シセキ 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (80761410)
光石 亜由美 奈良大学, 文学部, 教授 (90387887)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2018年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 女性雑誌 / 1930年代 / 東アジア / 左翼雑誌 / 商業雑誌 / 読者 / 1930年前後 / 女性知識人 / 女性文学 / 左翼文化運動 / 女性表現者 / 女性作家 / 近代 / メディア / ジェンダー / 文化生産 |
研究実績の概要 |
2023年度も四つの班による報告を、三回の研究会にて行った。本年度第1回めは、中国班が担当し、2023年11月26日に開催した(14:00~17:00、Zoomミーティング)。尹シセキ「雑誌『女性満州』における女性文学と「満州娘」言説」の報告を行い、『女性満洲』が文化雑誌からプロパガンダ雑誌へと転換する過程、『女人芸術』など日本の女性雑誌との継続性や、満州に流れ込んだ左翼思想における女性像の翼賛体制下での変質などについて議論が行われた。第二回は、日本班と韓国班が担当し、2023年12月17日(日)に開催した(14:00~17:00、Zoomミーティング)。日本班から、飯田祐子「『働く婦人』における「国際性」」の報告を行い、同誌における国際関係の情報を精査し、『女人芸術』における国際記事の傾向との比較を行い、左翼的国際生について検討した。韓国班からは、孫知延・光石亜由美「雑誌『女人』」の報告を行い、左翼文化運動の流れと女性雑誌の流れとの交差性が検討された。第三回は、台湾班が担当し、2024年3月16日(土)に開催した(14:00~17:30、Zoomミーティング)。陳 奕汎「植民地台湾初商業女性雑誌『婦人と家庭』の概観」の報告を行い、『台湾愛国婦人』と『台湾婦人界』の間における台湾での女性雑誌をめぐる問題について検討した。加えて、書籍化した際における年表作成に向けて、光石亜由美「1930年代の女性雑誌」の報告を行い、方向性について検討した。また、各回において、2024年度8月に開催するシンポジウムに向けて、シンポジウムの目的や構成、また招待研究者の人選などについて、議論を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、コロナ禍の影響で、研究計画に変更を余儀なくされたが、ここまで17回の研究会を重ねてきた。これまでに検討を試みた雑誌は、日本班では『働く婦人』『泉の花』『婦人戦線』『婦人』、中国班では『婦女生活』『玲瓏』『上海婦人』『女子月刊』、台湾については『台湾愛国婦人』『台湾婦人界』『婦人と家庭』、韓国については、『新家庭』『新女性』『女性』『長恨』『女人』、満州の『女性満洲』である。それらの検討を通して、商業雑誌中心に行われて来た女性雑誌研究を左翼文化と接続し、文化消費者としての女性読者から文化生産者としての女性執筆者に問題を広げ、各地域内の問題だけでなく、東アジアにおける流通のあり様を実体的な関係性のみならず、雑誌文化の流通という枠組でとらえなおし、また各地域における女性のリテラシーや文化構築と雑誌の機能について検討を重ねてきた。各地域にて調査と研究会を開催しそれぞれの地域の女性雑誌研究者とのネットワークを構築するという目論見については、zoom を利用した研究会などを開催する形で、部分的には遂行してきたが、十分に展開できたかといえば残念ながらそうではなかった。もともとの計画では2023年度にて終了する予定であったが、変更全体を総括するためのシンポジウムを開催することとした。本研究での議論を深め、またより広く国内外の研究者と交流する機会としたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、総括として国際シンポジウムを開催する(8月24・25日、名古屋大学)。 全体を四つのセッションに分け、第一のセッションでは「女性読者、啓蒙、規範形成、参照と差異化」を、第二にのセッションでは「女性編集者、運動の生成、動員の装置、連帯という理念」を、第三のセッションでは「女性知識人、アイデンティティ、東アジアの他者意識、地域の特殊性」を、第4のセッションでは「雑誌文化、戦時の力学」について検討する。全体で16の報告を予定しており、日本・中国・韓国・台湾・満州の五地域にわたる雑誌について、検討を行う。報告者は、日本・韓国・台湾・中国の研究者である。シンポジウム後は、書籍化の予定であり、研究会の成果を公表する。これまで地域毎に展開されてきた雑誌研究をつなぎあわせ、1930年代から1940年代初頭までの女性雑誌について、東アジアにおける流通の有り様や動向を明らかにしていきたい。
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